主要35大学の志願者数は増加傾向

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2010年07月27日

大和総研では、大学の志願者数の動向について、関東・関西の主要35大学の最新の数値を含め、過去5年間のデータを集計した。主要大学の志願者の延べ人数は、35大学合計で、137万人(2006年度)から160万人(2010年度)へと、約23万人(16.7%)の増加となった。18歳人口の減少にもかかわらず、各大学の志願者獲得に向けた様々な取り組みが、成果となって表れてきていると考えられる。

約20年間にわたって急激に減少してきた18歳人口も、今後は120万人弱となった後、当面は横這いでの推移となる。とはいえ、全体として大学経営は厳しい環境が続く見込みで、大学間での競争は、むしろ激化する可能性もあるだろう。

志願者数に影響を与える要因としては、(1)18歳人口および進学率の動向、(2)景気動向、(3)文系・理系などの学部の人気、などの「外部要因」と、(4)新学部開設、(5)入試制度、(6)学費や奨学金制度など、(7)立地・美観などキャンパスの魅力度、(8)大学スポーツや有名教授などメディア露出度、(9)キャリア支援や内定率など就職関連、(10)偏差値など入試難易度、(11)広告宣伝や高校訪問などを通じた入試・広報戦略、(12)教育・研究内容の充実などの口コミ効果、などの「自助努力要因」が考えられる。

上記のどの要因が、志願者数にどれだけ影響したのかを正確に推計するのは、現実的には難しい。しかし、志願者数の増減が、大学にとって正しく生命線であるということには変わりがない。また、その志願者数を左右するのは、大学の自助努力による戦略と、それを実行するための財務力ということになる。「戦略」と「財務」の両輪が、今後ともキーポイントになると思われる。

なお、志願者数の数値は、大学ごとに異なっている部分もあり、また重複してカウントされている面もある。データの取り方、及び公表の仕方については、今後とも検討する余地があるだろう。

※35大学:(関東圏)早稲田、慶應義塾、上智、東京理科、明治、青山学院、立教、中央、法政、学習院、成蹊、成城、明治学院、國學院、日本、東洋、駒沢、専修、大東文化、東海、亜細亜、国士舘、拓殖、東京経済、東京農業、芝浦工業、千葉工業、(関西圏)関西学院、関西、同志社、立命館、京都産業、近畿、甲南、龍谷

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