日経平均の見通し
2010年03月02日
目先の日経平均は4月にかけて11500円程度まで上昇する可能性があると考えている。その理由の一つは2009年以降の経済・相場環境が2003年から2004年の経済・相場環境と似ていることである。2009年と2003年の相場の共通点は日経平均がバブル崩壊後の安値を更新したことである。一方、2003年の経済はITバブルの崩壊、9.11テロ、イラク戦争と続いた外的ショックによる世界同時不況の最終局面で、2009年はサブプライム問題やリーマン・ショックによる世界同時不況の最終局面だったという共通点がある。
また2003年の米FF金利誘導目標は過去最低の1%まで引き下げられたが、2009年のFF金利誘導目標は前年末から0~0.25%という過去最低水準まで引き下げられた。さらに言えば、2003年は米失業率が6月にピークアウトしたが、2009年は米失業率が10月にピークアウトした可能性が高い。
一方、2003年の日経平均はイラク戦争やソニー・ショック直後の4月に7607円の安値をつけ、2009年の日経平均は3月に7054円の安値をつけた。その後の日経平均は両年とも夏場にかけて上昇し、11月に向けていったん反落、その後年末年始を挟んで再上昇し、2月に向けて再び反落した。
その後、2004年当時の日経平均は4月にかけて再び上昇して12163円の高値をつけたことから、目先の日経平均も4月にかけて再び上昇して11500円の高値をつける可能性があると考えられる。問題は2004年の日経平均が4月につけた高値12163円をその後抜けなかったことである。2003年の景気や株価が大底から脱したことは事実だが、2004年の景気や株価は大して良くもなければ悪くもないという「踊り場」の年だった。
さらに言えば、2004年の日経平均は4月末の高値12163円から5月半ばに10505円まで急落した。その背景は、米雇用統計で非農業部門雇用者数が大幅に増加したことによって米国の利上げが現実味を帯びたことである。実際に米FRBは2004年6月から利上げをスタートした。今年の日経平均も4月にかけて11500円程度まで上昇した後、米国の利上げが現実味を帯びることによって調整する可能性があると見ている。その後の日経平均の反発力は米国や新興国を含めた世界経済の回復力次第と言えよう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
議決権行使助言業者規制を明確化:英FRC
スチュワードシップ・コード改訂で助言業者向け条項を新設
2025年06月10日
-
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進に求められるものとは
グロース市場改革の一環として、東証内のIPO連携会議で経営者向け情報発信を検討
2025年06月10日
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
「内巻」(破滅的競争)に巻き込まれる中国自動車業界
2025年06月11日