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国際金融におけるブラジルの位置づけ;対立、協調を経て参加へ

2009年12月09日

長谷川 永遠子

先日、都内で行われたブラジル金融セミナーに参加した。実はこの種の席に顔を出したのは3年ぶりである。ブラジルも日本も3年もたてば変わるのは当然だが、変わった度合いの大きさでいえば、日本の投資家の方に軍配が上がる。3年前はBRICsといっても中国しか目に入らなかったようだが、今や日本の投資家のブラジル熱は高まるばかりだ。

ブラジルはこの30年余りで3度の危機を経験した。1982年の債務危機、99年の通貨危機、そして昨今の世界経済危機である。投資家とブラジルの関係は、これら危機の原因や危機処理の過程で得た教訓を活かし、変わってきている。

債務危機下の両者は「対立」関係にあった。当時のブラジルはIMFの総需要抑制策の受入れを拒否し、2度にわたって一方的な利払い停止に踏み切っている。それからおよそ10年。一国の危機が瞬時に周辺に伝染する新型危機の発生を前に、投資家とブラジルは「協調」を意識するようになる。この時期(1997~2002年)行われた3度のIMF融資はいずれも危機直前に締結され、ブラジルは危機の影響を比較的軽微にとどめることで周辺国への危機の伝染を防いだ。

そしてリーマンショック後の世界では、国際金融市場の安定がブラジルなど新興国の「参加」なしには語れなくなっている。ブラジルはG14やG20の場で国際金融安定化協議に積極的に関与し、中印露と共にIMF債購入の意思を表明。これが実現すれば、かつて利払い停止まで起こした重債務国がIMFにとっての債権国になる。

自国経済に対する自信を失いつつある日本の投資家が、来年以降4%超の成長が続くと見込まれるブラジルに熱い視線を送るのは当然だろう。2016年には南米大陸初の五輪がリオデジャネイロで開催される。日本の投資家のブラジル熱は当分続きそうだ。

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