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仕分けで、財務省だけが有利にはならない

2009年12月01日

原田 泰

世論調査によれば、7割以上の国民が、行政刷新会議による予算の事業仕分けを支持しているという。確かに、予算の作成過程が公開されて、こんなことに税金を使っていたのかと驚く事実が次々と明らかになるので、世論の支持が高いのは当然である。しかし、国民の支持が高いがゆえに、一方で批判もある。どういう権限と基準で事業を見直すのか分からない、一方的に質問をぶつけて相手に話をさせないのは不公平だ、1時間の議論で決めるのは乱暴だ、事業の目的について議論しないのはおかしい、所詮、財務省の下請けになっているなどの批判もある。

この作業に、私も仕分けの評価者として参加した。確かに、仕分け作業には多くの問題があるが、これらの批判のうち、財務省主導だという批判について私の考えを述べたい。

マスコミは、財務省主導だというストーリーを作りたがっている。仕分けという方式は地方自治体で始まったが、それに地方の財務部局は参加していない。これに対して、国の仕分け作業には財務省が関わり、仕分け人が議論する前に予算担当部局がその考えを説明する。これによって議論が財務省に誘導されるという批判があるのは当然だ。しかし、財務省の説明はごく当たり前の常識的なことを指摘していることが多いから、これと違うことだけを議論するのは難しい。仕分け人は、独立独歩の人が多いから、独自の意見を言いたがるが、常識に照らしておかしいことを問いたださない訳にはいかない。また、事前ヒヤリングで予算要求省庁に資料を要求したにも関わらず、その資料が提出されず、代わりに財務省が提出することもある(GXロケットのコストと他の代替的ロケットのコストの比較表を提出してほしいと頼んだが、予算要求官庁からは提出されず、財務省からのみ提出された)。財務省主導になってしまうとしたら、それは要求官庁の責任でもある。

これでは財務省の力が強まるばかりだという意見があるかもしれない。しかし、必ずしもそうではない。仕分けは、財務省にとっても逆効果の面がある。国民は、財務省はこんなことにも予算を付けてきたのかと思うだろう。そんな予算を要求した官庁も認めた財務省も同罪だと思うのではないか。仕分けで財務省ばかりが得をすることはないと私は思う。

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