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ブラジルの風に吹かれて

2009年10月19日

山田 雪乃

陽気な陽気なカーニバル。お祭り気分は夜通し続く。

10月2日、ブラジルのリオデジャネイロで2016年に五輪が開催されることが決定した。2014年のサッカー・ワールドカップに続く世界的大イベントの招致である。南米大陸初の五輪開催は、経済規模で世界10位に位置するブラジルの悲願でもあった。その決定から2日後、ブラジルへ向かう飛行機に乗った。

ブラジルの第一印象は、緑豊かで空気が澄んだ中進国。貧富の差こそ残っているが、中低所得者の購買力は、確実に底上げされつつある。家の中を覗くと、薄型テレビに携帯電話、贅を尽くしたベットカバー。一人当たりの化粧品消費量は、米国と並ぶ世界一だ。
ここブラジルの買い物熱は留まるところを知らない。ただ、消費を後押しする構図は、昔と今で一変している。90年代半ばまで続いた高インフレは人々を買い物に駆り立てた。かつては四桁の物価上昇率もまれではなく、給料が支払われると、家族総出で買出しに出かけた。今買わなければ、明日にはさらに値上がりしてしまう。そんな恐怖心が消費を加速させた。それは、まさに、熱狂に包まれた「カーニバル」だったと言えよう。

しかし、90年代末以降、インフレターゲットの導入や、米ドルにブラジル・レアルを固定する「レアル・プラン」が効果を発揮し、物価上昇率は一ケタ台に落ち着いてきた。現在では、インフレの沈静化が金利の低下につながっている。住宅ローンやクレジットカードなど様々な消費者サービスも創出され始めている。
例えば、今回訪問した通販企業「B2W」は、TVや電話、インターネットなどの媒体を通じて、衣料やおもちゃ、サッカーのチケットから旅行まであらゆる商品を販売するカタログ・ショッピングを展開する。ブラジルにおけるインターネット利用率は、現在の30%程度から13年には50%程度へ跳ね上がる見通しだ。かたや、広大な国土の約8割では、スーパーマーケットの出店すら計画されそうもない。米国に4~6年遅れる通販事業は、今後、2億人に手が届こうとするブラジルで、益々広がりを見せて行くだろう。

こうした中で決定した五輪の開催である。約110億ドルのインフラ関連投資計画のもと、鉄道や港湾、空港などへの投資が膨らむだろう。だが、五輪の効果は、むしろ、ブラジルの成長性に対して世界の目が向けられることにある。ブラジルは金融危機の傷が浅く、GDPの6割を占める消費が回復軌道を辿っている。折りしも09年9月には、ムーディーズがブラジルの外貨建て国債の格付けを「投資適格」に引き上げた。S&P、フィッチを含む主要格付け機関3社全てが、ブラジルの経済的安定性を保証したことになる。五輪開催に向けて走り出すブラジルに対して、投資家のまなざしは熱くならざるを得ないだろう。

CPI消費者物価指数

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