平成19年度・大学法人の財務指標の概観(規模別・ブロック別)

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2009年09月16日

  • 内藤 武史
平成19年度は2年連続で学校事業収支が事業外収支を下回ったが、規模別・ブロック別(医歯系除く)でもその大半で学校事業収支が事業外収支を下回る状況となっている。以下では主要財務指標のポイントをまとめた。
なお、ここでは全国の大学法人(医歯系除く)を1法人当たり学生生徒等数で規模別に[~0.5千人] [0.5~1千人] [1~2千人] [2~3千人] [3~5千人] [5~8千人] [8~10千人] [10千人~]の8グループに分類している。同様に、地域により、北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州の11ブロックに分類している。( )内の数字は1法人当たり学生生徒等数。

1.収支性指標:主要指標「{(学校事業収入-学校事業支出)+事業外収入}/総資産」「(学校事業収入-学校事業支出)/学校事業収入」「帰属収支差額比率=帰属収支差額/学校事業収入」・・・ほぼ完全に規模と相関するとともに、全般的に大都市圏の大学法人の優位性が示されている。

主要指標のレベル学生生徒等数規模別ブロック別
全国平均を上回る[8~10千人] [10千人~]南関東(7,035)、中国(3,232)
全国平均を若干下回る[3~5千人] [5~8千人]東海(4,901)、近畿(5,324)
全国平均を下回る[2~3千人]北海道(3,650)、甲信越(1,741)、北陸(3,502)、九州(3,393)
全国平均を大幅に下回る[~0.5千人] [0.5~1千人] [1~2千人]東北(2,991)、北関東(3,378)、四国(3,402)

2.生産性指標:主要指標「損益分岐点比率=損益分岐点帰属収入/帰属収入」・・・規模の拡大につれ低下する傾向が鮮明であり、ここでも大都市圏の大学法人が優勢である。

主要指標のレベル学生生徒等数規模別ブロック別
85%以下[10千人~]南関東(7,035)、中国(3,232)
85%超~90%以下[3~5千人] [5~8千人] [8~10千人]甲信越(1,741)、東海(4,901)、近畿(5,324) 、九州(3,393)
90%超~95%以下[2~3千人]北海道(3,650)、北陸(3,502)、四国(3,402)
95%超~100%以下東北(2,991)、北関東(3,378)
100%超[~0.5千人] [0.5~1千人] [1~2千人]

3.効率性指標:主要指標「学校事業収入/総資産」「学校事業収入/有形固定資産」「学校事業収入/自己資金」・・・規模別の傾向差はみられず、東高西低の傾向が顕著にみられる。

主要指標のレベル学生生徒等数規模別ブロック別
全国平均を上回る[0.5~1千人] [10千人~]北海道(3,650)、北関東(3,378)、南関東(7,035)、 東海(4,901)
全国平均並み[2~3千人] [3~5千人] [5~8千人]東北(2,991)、甲信越(1,741)
全国平均を下回る[1~2千人] [8~10千人]北陸(3,502)、 近畿(5,324) 、中国(3,232)、四国(3,402)、九州(3,393)
全国平均を大幅に下回る[~0.5千人]

4.安全性指標:主要指標「負債比率=総負債/自己資金」・・・規模別・ブロック別の傾向差は特にみられない。

主要指標のレベル学生生徒等数規模別ブロック別
10%以下[~0.5千人]四国(3,402)
10%超~15%以下[1~2千人] [3~5千人] [8~10千人] [10千人~]北海道(3,650)、北関東(3,378)、南関東(7,035)、北陸(3,502)、東海(4,901) 、近畿(5,324) 、中国(3,232)、
15%超~20%以下[2~3千人] [5~8千人]東北(2,991)、甲信越(1,741) 、九州(3,393)
20%超[0.5~1千人]

以上、財務指標の特徴として、収支性・生産性指標では、規模の優位性と大都市圏の優位性がみられる一方、効率性・安全性ではそうした傾向はみられない。但し、収支性の優劣は現在のキャッシュ・フローの差に反映されるとみられることから、将来的には安全性指標に格差が生じてくる可能性はあろう。

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