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株価低迷期のM&A戦略

2009年08月11日

間所 健司

日経平均株価が1万円を超え、株価的には最悪期を脱しつつある株式市場であるが、景気の不透明感から、まだまだ本格的な回復とまでは言えないようだ。その中で、M&Aが徐々にではあるがその件数を増やしつつあるようだ。株価が低迷する中でどのようなM&A戦略が考えられるのだろうか。

M&Aにはいろいろな手法がある。TOBに代表される株主から直接株式を買い集める方法、合併、株式交換など会社法で認められる再編手法を用いる方法などがある。もちろん、TOBだけで100%買い集められるものではないので、TOB+株式交換という組み合わせが使われることも少なくはない。

TOBにおいて市場株価に対して、高いプレミアムを加算する場合は別として、上場会社同士のM&Aの場合は、基本的には両社とも市場で株価が形成されている。したがって、DCF法を採用するにせよ、純資産で比較するにせよ、最終的には市場株価がベースとなるケースが圧倒的に多い。

M&Aにおいて市場株価がベースとなると、自社の株価がPBR(株価純資産倍率=株価÷1株当たり純資産)1倍割れの場合に、合併や株式交換の対価として株式を使うと割高感があり、株主も賛成しにくい。自己株式を対価として使う場合はなおさらで、自己株式処分損が発生しないとも限らない。株式を対価として使うM&Aに場合は、自社の株価が市場でどう評価されているか注意が必要である。

上場会社と非上場会社の間でM&Aをする場合は、バリュエーションにはかなりの調整が必要になると思われる。上場会社は当然に市場株価がベースとなるが、非上場会社ではそうは行かない。財務諸表への記載内容が適正であるかどうかを調査する財務デューデリジェンスは当然のこと、その結果に基づいて、DCF法、純資産法、類似会社比較法など多面的な検討を行わなければならない。このように、非上場会社を対象とするM&Aを行う場合には、買収価格の適正性については十分な調査・分析が必要である。それをしなければ高い買い物をしてしまうことになる。

いずれにしても、バブル期の勢いでM&Aをして失敗する愚を犯すことは戒めなければならない。しかし、株価が低迷しているからといって、事業戦略を萎縮させてはならない。このような時期こそ、冷静かつ積極的な経営判断でM&Aを行い、確固とした事業基盤を固めていくチャンスとすべきである。

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