選挙と外国人投資家
2009年07月28日
8月30日投開票に向けた総選挙が近づいてきた。政策頼みの経済動向を踏まえると、政局からマーケットにもたらされるであろうリスクは少なくない。
日本の過去の国政選挙を振り返ると、野党が勝利した場合は、やや株価が低調になる傾向にあるが、顕著なものではない。選挙日前後で株価推移のトレンドが変化した事例としては、98年の参院選や07年の参院選など、野党が明らかな勝利を得た時となる。ただし、各選挙後の株価推移のばらつきは期を追う毎に拡大しており、選挙結果の影響だけが長期にわたって及んでいたとは考えにくい。今般は、すでに野党優位が喧伝されていることから、勝敗の影響は軽微だろう。
選挙前後における主体別売買動向については外国人投資家の動向が注目されよう。外国人動向は、与党の敗北時には売りが嵩む傾向があるが、変革期待を伴っている場合は必ずしもそうではない。
海外の地域別にみると、小泉政権下における2005年9月の衆院選時における北米地域の買いの動きが目を引く。改革の進展期待が大きかったとされるが、大統領制の米国では、選挙後に一気にレジームが変化させることがあり得ることから、大統領制を意識させるような小泉政権への期待が高まった可能性がある。93年の政権交代が実現した際も、北米からの投資は買い越し基調だった。だが、欧州地域は、ラディカルな変化は望めないことを理解していたのかもしれない。議院内閣制の国も多く、93年の政権交代時は買い越し転換した欧州も、07年のねじれ国会が出現した際は、売り越しに転換しており、政治の混乱を懸念した可能性がある。
あえてまとめるのであれば、改革・変革期待の北米と、混乱を嫌う欧州ということになろうか。今回の総選挙後、政治体制が安定し、前向きな変革が行われるのであれば、各地域そろって買い越しが期待できる、と言えそうだ。
このような過去との比較も重要であるが、運用のスタンスが変化している可能性は否定できない。そこで、政権交代を伴った海外における最近の選挙前後の株価推移をみると、政治よりも世界的な金融・経済環境次第という側面が強い。だが、反政府デモ等の政治イベントを含めると、カントリーリスクに対しては各市場において外国人は売りで対応していた様子が窺われる。
こうした外国人投資家の動向を踏まえると、選挙後の政治体制が安定化していなければ、本邦においても外国人投資家の売りには大いに警戒を持って臨まなければならないことになる。政策頼みの相場展開のなかで、景気回復、企業業績の回復に向けた対応ができる政治体制か否かの方が、より重要と考えられるだろう。2010年の参院選に向け、総選挙後の政権が安定して政策実行を進めるのであれば、選挙直後の混乱があったとしても懸念にはならないだろう。政治の安定性が重要であり、日本でも選挙後の特別国会とそれ以降の政権運営までをも視野に入れる必要がありそうである。
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