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世界の中心でコモディティーを見る

2009年07月14日

山田 雪乃

ジェットコースターのような原油相場が繰り広げられている。WTIは08年7月の145ドルをピークに12月には30ドル台へ下落。09年2月半ば以降は、ほぼ一本調子で上昇して6月に70ドル台を回復した。3月以降の上昇相場は、最悪期を脱した「世界景気の回復」が注目されたことによるものだ。

しかし、WTIは70ドルに乗せたところで息切れし、7月半ばには60ドル割れとなった。投資マネーが、世界需要回復への期待と、足元の需要との乖離を認識し、是正し始めたことによる。米国で先物規制を強化する動きが本格化したことへの警戒感も、コモディティ市場からのマネー流出を促した。供給サイドでも、増産の動きが見られ始めている。コモディティ市場は、「W字型」相場の真ん中の山を越えたと言えるだろう。過剰に織り込んだ「景気回復期待」と足元の需要回復スピードの格差が解消されるまで、市場の調整が続く可能性が高い。

中期的には、「需要回復」「インフレ懸念」「流動性の増加」「ドル安」によって、コモディティ価格は上昇基調を辿る見通しだ。まず、世界景気は最悪期を脱して、着実に回復へ向かっている。IMFの7月見通しでは、世界経済予想成長率は09年の▲1.4%から10年の+2.5%へ回復する。中でも、中国の成長率は09年+7.5%、10年+8.5%と、前回予想(4月)から各々+1.0%pt上方修正された。足元では過剰に織り込んだ景気回復スピードへの期待が修正されているが、世界景気が再び悪化するわけではなく、景気は徐々に回復へ向かう見通しだ。需要の回復に伴って高まってくる「インフレ懸念」も、コモディティ価格を加速させる要因である。

「流動性の増加」も、コモディティ価格を押し上げるだろう。資金の供給が急増する一方で、資源の供給が追いつかなければ、実物投資先としてのコモディティ投資が活発化しやすい。ワールドダラーはすでに前年比+70%程度まで急増している。金融不安が後退したことで、投資資金は世界的に循環し始めたものの、市場に放出されたマネーの大部分は、依然として眠っている模様だ。米国のWTI先物市場の規模は、08年夏のピークの4割程度に回復したに過ぎない。過去にワールドダラーが急増した局面を振り返れば、今後、この資金がコモディティ市場へ向かい、コモディティ価格の上昇を促すだろう。

また、米国の財政赤字のファイナンスへの懸念は、依然として強く残らざるを得ないだろう。米国が大量に国債を発行することで財源を確保しようとすれば、米ドルの価値は低下し、構造的な「ドル安」が、コモディティ価格の押し上げ要因として働くだろう。

このように見れば、コモディティ市場は足元ではしばらく調整するものの、09年年末から2010年にかけて再び上昇軌道へ戻るだろう。WTIは10年に100ドルを目指して上昇する可能性が高いだろう。

ワールドダラーとCRB
注:FRB、CRB指数(商品先物指数)などよりDIR作成
出所:「ワールドダラー」はマネタリーベースと海外当局が保有する米国債の計。

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