1. トップ
  2. レポート・コラム
  3. コラム
  4. 成長機会が広がる携帯電話のコンテンツプロバイダー

成長機会が広がる携帯電話のコンテンツプロバイダー

2009年06月25日

星野 和彦

近年、携帯電話コンテンツへのアクセスが活発化している。NTTドコモによれば、2009年5月のWebアクセス数は、1人1日当り平均で80ペ-ジビュ-。5年前に比べて8倍に急拡大している。背景は、(1)デ-タ通信の高速化と携帯電話端末のデ-タ処理能力の向上、表示画面の高解像度化、メモリの大容量化などにより、高品質なコンテンツが携帯電話で利用できるようになったこと、(2)パケット定額制の普及により、通信料金を気にせずにコンテンツを利用できるユ-ザ-が増えたこと、などである。

一般的にコンテンツが無料で提供されている勝手サイト(公式サイト以外)(※1)は、公式サイト以上にユ-ザ-からのアクセスが活発化している。同サイトの主な収益源であるモバイル広告市場も順調な拡大を遂げており、外部環境は良好である。

電通が毎年発表している「日本の広告費」によれば、2008年のモバイル広告市場は913億円で、前年比47%増加した。それでも、国内の広告市場に占めるモバイル広告の割合は1%に過ぎない。携帯電話でのネット利用頻度や利用時間が増えており、今後もモバイル広告市場は拡大が見込まれている。

ディ-・エヌ・エ-は、「モバゲ-タウン」の広告収入やアバタ-関連売上で急成長を遂げたが、勝手サイトの運営事業者による収益源の多様化も進んでいる。例えば、携帯電話向けを中心とした無料ホ-ムペ-ジサ-ビスサイトを運営する「魔法のiらんど」では、ユ-ザ-が執筆したケ-タイ小説を文庫本やドラマ(DVD)にして発売。無料で提供するケ-タイ小説・ドラマの内容やサ-ビスを拡充し、公式サイトでの有料サ-ビスも行っている。通信速度の高速化やパケット定額制の普及、端末の高性能化、新しいジャンルのコンテンツの誕生などにより、携帯電話コンテンツは今後も市場拡大や勝手サイトの活況が期待される。

携帯電話コンテンツは参入企業が多く、新しい魅力あるコンテンツをコンスタントに提供し続けることが、成長するための条件である。公式サイトで有料会員を拡大し、多くの上場企業が誕生したが、好調な会社がある一方で、着メロから着うた・着うたフルへの音楽関連コンテンツ市場の変化など、市場構造の変化に対する対応の遅れやコンテンツ自体の競争力低下により、業績が停滞している会社がある。

一方、勝手サイトを運営する事業者の多くは、無料会員を抱えてもコストに見合う収益に結び付けられないことが課題であった。しかし、広告市場の拡大や収益源の多様化により、勝手サイトの事業者でも急成長するベンチャ-企業が出現する環境が整ってきている。

(※1)公式サイト:携帯電話サービス事業者(キャリア)の承認を受け、メニュー画面をクリックして行くと、たどりつけるサイト。利用料金はキャリアが利用者から徴収し、サイト会社に支払われる。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加