省エネ住宅販売業への期待
2009年04月23日
ヒートポンプを利用した給湯器「エコキュート」が急速に普及している。2008年の出荷台数は49万5千台と前年の39万9千台から24%伸長し、2008年末時点での累計出荷台数は160万台に達した。
導入家庭のほとんどは、家庭用の熱供給を電気に一本化したオール電化住宅となっている。エコキュートであれば、家庭の消費エネルギーの3分の1以上を消費する給湯器を割安の深夜電力でまかなうことができる。この経済的メリットと安全性の高さが消費者をひきつけている。1戸あたりの機器・工事費は100万円強と見積もられることから、年間の市場規模は5,000億円を超える水準に拡大している。
2008年まで続いた原油価格の高騰はプロパンガスの価格上昇をもたらした。都市ガスが普及していない郊外地域において、リフォームによってオール電化を導入する例が増えている。リフォームでの導入件数は新築にほぼ追いついた模様である。
普及が進むにつれ、強引な販売も一部では見られるようである。2008年11月に国民生活センターはエコキュートなど電気温水器の訪問販売に関する相談が急増していると発表。クレームの主な原因は、販売業者の説明不足である。
2006年頃から大手家電量販店が専門のブースを設け、オール電化機器の販売を本格化させている。複数の機器の比較が可能であること、専門のスタッフによる詳しい説明を受けることができることから、訪問販売と比較して透明性が高いと見られる。ただ、家電量販店は、リフォーム工事を伴う契約の締結ノウハウが不足しているため、訪問販売のスキルを有する販売業者と提携することで補っている状態である。
2009年より家庭用太陽電池の導入に対する補助金が復活したことを受け、オール電化機器は、今後も高水準の出荷が続くと見られる。販路の多様化もいっそう進行しよう。消費者の多様なニーズを適切に汲み取り、商品の利点・弱点についての十分な説明能力を有し、顧客の納得を得る能力を有する販売業者の活躍の場が拡大することが期待される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年07月04日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
-
2022年07月01日
2022年5月雇用統計
失業率は4カ月ぶりに上昇するも、均して見れば雇用環境は改善傾向
-
2022年07月01日
2022年6月日銀短観
外部環境悪化と国内経済活動再開が製・非製の業況の明暗を分ける
-
2022年07月01日
ディスクロージャーワーキング・グループ報告(コーポレートガバナンスの開示等)
-
2022年07月04日
男性育休取得率の向上は「ゴール」にあらず
よく読まれているコラム
-
2021年12月01日
もし仮に日本で金利が上がり始めたら、国債の利払い費はどうなる?
-
2022年01月12日
2022年米国中間選挙でバイデン民主党は勝利できるか?
-
2022年05月31日
先進国からの制裁を浴びるロシアの通貨ルーブルが大幅上昇
~一旦半値に、その後資本規制により6年10カ月ぶりの高値へ~
-
2022年04月21日
日本経済はウクライナ危機・感染拡大の下で「悪い円安」に直面
-
2015年03月02日
宝くじは「連番」と「バラ」どっちがお得?
考えれば考えるほど買いたくなる不思議