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M&AではふたつのPが重要

2009年04月08日

間所 健司

金融危機に端を発した世界的な景気低迷を受けて、M&Aマーケットも急速に縮小してきている。その一方で、これをチャンスと捉え、M&Aを積極的に仕掛ける会社も少なくない。では、買い手にとって安く買えることだけがM&Aの成功につながるのか。本稿では買収型のM&Aにおいて成功と言われるためには、事前に何をなすべきかについて考えてみたい。

売り手にとってのM&Aの成功は契約締結であるが、買い手にとって契約締結は成功へのスタート地点に過ぎない。買い手にとっての成功は、言うまでもなく買収後にシナジー効果を発揮し、買収価格を上回る価値を得ることである。

M&A後のシナジー効果の測定やシナジー効果を阻害する要因を事前に分析し、検証を行い、その後の統合計画を策定することをPMI(Post Merger Integration:直訳で「買収後の統合」)と呼んでいる。M&AにおいてPMIが重要であることに異論はないであろう。これらの検討・検証に加え、注力すべきなのは統合後のシナジー創出のための努力を、どれだけ払わなければならないかである。

トップの理想のみで先行した経営統合の合意は、事後的に発生する障害でブレイクする可能性も高いし、単なる規模拡大だけのM&Aではシナジー獲得はきわめて難しく、結果的には統合コストや時間だけをかけて会社の体力をすり減らすケースが多い。そうならないためにも、LOI(Letter Of Intent:意向表明書、予備的合意などと呼ばれている。)の前後には、予想されるシナジーについて、明確な統合プランを策定する必要がある。買収相手にどのような会社を選定するか、その会社と統合することでどのような具体的シナジーが獲得できるかなど、PreM&Aともいえる検討を行いつつ、統合への青写真を作成するのである。

統合プランでは、業界の動向、企業文化の差異から具体的な事業の相互補完関係、自社との具体的な統合シナジー効果など様々な観点から検討を加えることで、結果的に失敗しないように分析しておくことが不可欠である。

M&Aではひとつめの「P」が大切であること言うまでもないが、時間と資金を無駄にしないためには、ふたつめの「P」も重要であると肝に銘じてほしい。

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