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難題抱えながらも危機モードが緩和する株式市場

~G20金融サミットで新興国支援の資金枠大幅拡大が市場に安心感

2009年04月06日

三宅 一弘

4月2日に開催されたG20金融サミットでは、(1)世界経済の回復に向けて2010年末までに総額5兆ドル(GDP比4%)の各国財政出動、(2)IMFなど国際金融機関による金融危機に対する支援体制の強化(IMFの融資枠を現行の2,500億ドル→7,500億ドルに拡大、世界銀行などと合わせて総追加支援額1.1兆ドル)、(3)ヘッジファンドや格付け会社を含めて、金融監督・規制の強化、(4)保護主義の阻止などを決めた。特に(2)の新興国支援の資金枠大幅拡大によって、為替市場では安心感が広がり、退避先としての円需要が後退し、5ヵ月ぶりの100円/ドル台まで円安が進んだ。世界の株式市場は昨年9月のリーマン・ショック以降、約6ヵ月にわたって経済・金融危機が深刻化し、大幅安になっていたが、G20金融サミットなどを通じて危機後退の期待が高まっている。

 世界経済は、急激に落ち込んできた主要国の生産(景気)がモメンタムの底入れ・改善の動きになっている。今後、各国の財政刺激策が期待されるが、一方で過剰設備や過剰雇用の問題が深刻化している。財政出動とストック調整(設備投資削減)や雇用調整(消費抑制)圧力とが対峙する構図になり、停滞リスクが強いのではないかと推察される。V字型の回復とまではいかないだろう。急激に落ち込んできた生産(景気)は、モメンタムの底入れ・改善の動きになっているが、水準的には低位・横這いが続くとのイメージである。

90年代~2000年代初頭の10数年間にわたる日本経済・株式市場は、極度の低迷・不振に陥ったが、結局、(1)不動産価格の下落(2)企業の3つの過剰(過剰設備、過剰債務、過剰雇用)の整理、(3)銀行の不良債権処理、(4)株式市場では持合解消など株式需給の調整などに、多大なコストと時間を要したことによる。こうした4つの問題は、2003年前後で処理がほぼ完了し(あるいはメドが見えた)、それが03年3月以降の日本株反騰の原動力だった(現状、再び暗雲が垂れ込めてきているが)。

今の米国を考えると、(1)住宅価格の下落、(2)個人の過剰債務、過剰消費の整理、(3)金融機関の不良資産処理、(4)デレバレッジの4点の処理がどの程度進んでいるのかが、米国経済や米国株の先行きを占うカギと考えられる。筆者の現状における大勢感は(1)米国の住宅価格の前年比下落率・モメンタムのボトムは今年の年央頃。水準のボトムは、あと数年はかかる、(2)個人の過剰債務の整理は始まったばかりで、今後処理が本格化し、それにあわせて過剰消費は、節約・倹約型に動いていく、(3)金融機関の不良資産処理は3合目くらい、(4)なかなか見当がつかないが、不良資産処理並みの3合目あたりをイメージしている。

結局、このようにみると、世界経済は、「難題を抱えながらも、危機モードが緩和」との感触であり、主要国の株価は急落局面を脱したようだ。主要国は時間をかけて構造調整を進めるとみられ、株価もボックス局面に入り、その中で現状、悲観の揺り戻し(反騰相場)を演じているように推察される。日本株の物色面では、金融不安で売り叩かれた金融株や、世界経済の悪化と円高で人気離散となっていた輸出関連株が買い直される流れのようだ。

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