どうしたら正しいWBCをできるのか

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2009年04月01日

  • 原田 泰

WBCでの日本代表の連覇は嬉しいニュースだったが、対戦の組み合わせは誰しもがおかしいと思っただろう。日本は、9回の対戦のうち、中国と1回、韓国と5回、キューバと2回、アメリカと1回戦っている。16か国が参加しているのに、なんで韓国とばかり対戦するのか。ワールドなんだから、日本がベネズエラやオランダと試合するのも見てみたいと誰しもが思っただろう。この組合せ方式には韓国からも強い批判がある。

 第1ラウンドを、アジアでまとめるのは自然だから、最初の組で対戦するのは仕方がない。しかし、敗者復活で上ってきた相手ともう一度対戦するのは不思議である。柔道の敗者復活戦でも、一度負けた相手ともう一度やって、勝ったら順位が逆転するなんてことはない。順位決定戦はいらないのではないか。また、米国とキューバが別組にいるのも不思議である。

さらに理解できないのは、第2ラウンドでは、日本、韓国、キューバが同じ組にいることだ。最終的に3位までのチームが同じ組にいて、アメリカは別の組にいる。これではアメリカが必ず準決勝まで進めるように仕組んだのだと言われても仕方がない。

アメリカとどう交渉したら、へんな組合せを是正できるだろうか。日本は、この大会を続けたい。アメリカの試合に客が入っていないところを見ると、アメリカはやらなくても良いと席を立つことができる。これでは勝負にならない。しかし、日本、韓国、キューバが戦えば、国民は、その勝利者が世界チャンピオンだと思ってくれるだろう。アメリカが席をたったら、しっかりと日韓同盟を作って、日韓キューバでやれば良い(もちろん、アメリカ以外の参加は大歓迎だ)と思って交渉してはどうだろうか。日韓の盛り上がりを見れば、他国からの参加者にも十分にギャラを払うことができるだろう。

まだ、問題がある。大リーグは、日韓キューバWBCには傘下の選手を参加させないと言ってくるだろう。そこで日韓の選手には、日韓キューバWBC参加権を認めないかぎり大リーグチームと契約しないとしてもらう必要が出てくる。これは、選手の年棒を下げることになるから、不当に財産権を制限するものだと批判があるかもしれない。しかし、WBCで負傷した選手の所属チームは補償金を受け取っていないだろう。あまり詰めない日本では問題にならないかもしれない。

日韓キューバ同盟が、日米同盟を危うくするという心配があるかもしれない。私は、普通のアメリカ人は、大リーグの商売目当ての組合せを強欲の表れだと批判し、日米同盟が危うくなるなんて心配を笑い飛ばしてくれると思う。

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