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日本企業全体の赤字、その先にあるもの

2009年03月10日

渡辺 浩志

日本企業の収益が急速に落ち込んでいる。先週公表された法人企業統計によれば08年10-12月期の日本企業全体の経常利益は急落し、前年同期の三分の一になった。減益はこれで6四半期連続、減益幅も拡大している。

リーマンショック以降の急速な世界経済の悪化で輸出と生産が急減し、日本の企業収益はトップラインから崩れる格好だ。また、これにより日本企業全体の損益分岐点売上高比率は一気に90%にジャンプアップした。つまり、売上があと10%減少したら、日本企業全体が赤字に陥るということだ。マクロ経済指標に照らせば、日本企業全体の売上は10-12月期に比べ20%程度減少しても不思議ではない。そうなれば統計がさかのぼれる昭和30年以降初めてマクロで赤字ということになる。世界同時不況の影響が直撃した輸送機械、情報通信機械、電気機械などの輸出型製造業はすでに赤字に転落している。

経済全体で見ると企業収益の減少と倒産の増加は連動している。日本企業全体で赤字となれば、多くの企業は存続の危機に直面し、設備投資や雇用の圧縮を一気に加速させるだろう。労働分配率はすでに過去最悪を更新しており、更なる悪化となれば雇用調整は正社員を聖域としない。雇用不安は深刻な消費不振となり、企業は値下げ競争に出る。これがデフレ期待となって買い控えを喚起し、更なる企業収益の悪化につながる。物価の下落と実体経済の悪化が相互作用をもつデフレスパイラルに陥るリスクが高まっている。

この状況を打開するには、輸出の回復こそが特効薬だが、これを政策的に実現させることは難しい。一方、国際的にみて高い法人税率の引き下げや、優位性のある環境関連産業に対する振興策を国策として推進するチャンスだ。マクロで赤字という事態の中では、こうした国際競争力強化を後押しする政策に対しても保護主義との謗りは免れよう。

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