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日本発のケータイ検索・レコメンド技術への期待

2009年01月20日

櫻岡 崇

携帯電話を通じた消費者向け電子商取引(以下、ケータイEC)は、PCを通じた取引よりもやや高いペースで拡大しており、2007年で前年比28.6%増加の7,231億円である(モバイル・コンテンツ・フォーラム調べ)。PCインターネットを含むBtoC EC(消費者向け電子商取引)市場は、2007年で前年比22.1%増加の3兆3,050億円(小売・サービス業;経産省調べ)である。ケータイECは21.9%を占めていることになるが、その勢いはネット端末としてのケータイの存在感(アクセス量)に比べてやや弱いと感じざるを得ない。

インプレスR&Dのアンケートによれば、ケータイを通じたショッピングの利用経験率は、2008年10月の調査で29.1%と、前年の36.2%から低下した。2年前の2006年10月の調査では41.2%であったことから(2005年9月は37.8%)、2年連続で低下していることとなる。一方で、利用者の利用頻度、及び金額は上昇している。これは、上記ケータイEC市場の拡大が、ユーザーの裾野が広がらない中、既存ユーザーのアクティビティ向上が牽引した結果であることを意味する。この状況は、2008年に入っても変わっていないと言えよう。PCでのインターネットショッピング利用経験率が順調に上昇し、80.9%に達しているのとはまったく対照的である(同じくインプレスR&Dの2008年4月の調査)。

また、ケータイECでの利用サイトが相変わらず楽天、ヤフー、amazonなどの大手で占められている。金額で見るほどケータイECがビジネスとして順調な発展軌道に乗っているとは言いがたい状況である。

ケータイECについてややネガティブな状況を強調した形となったが、実のところ、世界中を見回しても、日本ほどケータイでショッピングを楽しんでいる国はない。米Nielsen社が2008年第1四半期に行った調査によれば、米国におけるケータイECの利用経験率は3.6%である。また、米eMarketer社によれば韓国のケータイEC利用経験率も2005年で5%程度である。

当該分野で先進国と言える日本が、ケータイECを特定ユーザー層に受け入れられている現状から一般ユーザーへブレイクスルーさせることに成功するカギは、グローバルで展開できる技術・ノウハウとなろう。

ケータイECは、端末特性(小さな画面、低い演算処理能力、遅い通信速度、限りあるバッテリー駆動時間)からくる制約と、外出時というロケーション・時間の制約の組み合わせによって、ユーザーにはストレスがかかる。

一般的に、PCでのEC利用は、時間的にある程度余裕のある状態が多く、ショッピングセンターに買い物に訪れたときのように、多様な商品に触れる過程を楽しむゆとりがある。これに対して、ケータイECの利用は、現場で早く目的を達成する結果重視の状態である。不必要な情報閲覧や検討過程を可能な限り排除したいと考えがちな状況にあるだろう。

実際、ケータイECを利用するユーザーの多くが、サイトを訪れる前にあらかじめ購入商品のターゲットを定めている傾向が強いことが知られている。このことを逆説的にみれば目的を定める意思決定過程の処理をいかにケータイで効率よく行えるかがカギとなることが見えてくる。

そこで、ケータイに特化した検索・レコメンドの技術、UI(ユーザー・インターフェース)やサービス企画力が助けとなるのである。日本で、当該分野の技術開発、及びサービス実装を容易にするプラットフォーム開発などへ投資資金が集まることに期待したい。

そんな中、次世代OSとその搭載スマートフォン開発を進めていた米Palm社に対し、その展開資金として投資会社の米Elevation Partners社が1億ドルの出資を決めた(2008年12月22日会社発表、同社は前年にも3億2,500万ドルを出資)。米Palm社は、1990年代にハンドヘルド・コンピュータで一世を風靡した後、スマートフォンへ事業の主軸を移したものの、2007年第2四半期より5四半期連続営業赤字に陥っていた。その新たな「Palm webOS」を搭載した端末「Palm Pre」は、米ラスベガス開催のCESで発表された(2009年1月8日)。株価は、上記出資発表前(12月19日)の2ドル49セント、製品発表前(1月7日)の3ドル30セントから大きく上昇し、7ドル14セント(1月15日)となっている。

現在の金融危機の環境下にありながら、つくづく、日本と比較した米国における投資のダイナミズムを感じさせると共に、モバイル分野の成長ポテンシャルを再認識させる出来事である。日本も負けてはいられまい。

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