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DRAMメーカー救済に動く台湾

2009年01月16日

杉下 亮太

昨年秋以来、台湾エレクトロニクス業界においても想定を大幅に超える急激な生産調整が起こっている。月次売上高が前年同月比で半減以上の落ち込みとなった企業も多い。大和総研で毎月売上高を集計しているエレクトロニクス企業44社のうち、16社が12月は前年同月比5割以上の減収となった。このような業績の急激な悪化に対応すべく、各社とも無給休暇の導入や幹部社員の減給を実施しているが、売上急減にコスト削減は追いつかず、財務内容が大幅に悪化した企業も少なくない。そこで、苦境に陥った企業を台湾政府が救済しようとする動きが出てきた。

最初の大型案件として現在注目を集めているのが、DRAMメーカーの救済案である。台湾のDRAMメーカーは今回の経済危機以前から市況下落によって業績が悪化している。ネットデットエクイティレシオは100%を大きく超えた上に、現預金は1年以内の返済が必要な有利子負債よりも少ない状況となった。台湾政府は業界再編を条件に、DRAMメーカーへの資本注入も視野に入れているとされる。

従来、台湾政府は産業育成のための支援策は多く打ち出してきたが、業績が悪化した企業を救済したケースはほとんどなかったはずである。本来政府は手を差し伸べる立場にないといえようが、DRAMメーカーが仮に破綻するようなことがあるとすれば、雇用はもちろんのこと、多額の貸出を行なっている地場の銀行に大きな影響が及ぶ可能性を懸念したためと見られている。

この意味では、台湾政府によるDRAMメーカー救済はやむを得ない判断だといえるだろう。ただし、政府も救済の条件につけているように、業界再編は必須である。台湾のDRAMメーカーは技術的にも規模的にも競争力で劣っている。技術パートナーとの関係をさらに強固にした上で、強いDRAMメーカーを新たに誕生させることが必要だろう。それだけではなく、現在のDRAM市場における最大の問題点である供給過剰を解消するためにも、ある程度の生産能力調整を同時に行なうことも重要と考える。

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