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金融危機と景気—今はどのあたりか

2009年01月05日

田谷 禎三

年初にもかかわらず、暗い話が多い。明るくなるのはいつ頃だろうか。それにしても、景気はなぜこうも急激に悪くなったのだろうか。金融が混乱すると、かくも大きな影響が出るということだろう。

まず、金融面で何が起こっているのだろうか。一言で言えば、信用バブルが崩壊したということだろう。世界的に、リスクのある対象(金融商品やさまざまな投融資プロジェクト)に借り入れ資金を使って(つまり、レバレッジを効かせて)投融資しすぎた結果、その巻き戻し(ディレバレッジング)が起こっている。

そこで、信用で買っていたものが急に買えなくなったし、買わなくなった。実物資産で典型的なものは住宅と自動車だ。自動車を現金で買う人はごく少数だろう。カードで買っていたその他の高額商品もある。また、借金による設備投資も難しくなった。景気が悪くなるはずだ。一方、金融資産で典型的なものは株式や社債、それに証券化商品だ。金融機関自身を含めて多くの投資家はレバレッジを効かせてリターンを高めていたが、手仕舞わなければならなくなった。株価と社債や証券化商品の価格が急落し、金融機関のバランス・シートが痛んでしまった。

景気はいつ頃好転するだろうか、また、何を条件に好転するだろうか。金融の混乱が景気を悪化させ、景気の悪化が金融危機を深化させている。さらに、信用膨張の影響が世界的規模で広がっていたので、貿易を通しても各国の景気が負の連鎖を起こしている。

金融危機からの脱却には、金融機関による損失規模に関する認識が安定化し、それに応じた資本増強が必要だろう。景気の回復には、欧米を中心として住宅価格の回復や株価の回復による金融システムの安定化が必要だろう。これらの条件は相互に関係し合っている。たとえば、住宅価格が回復しなければ、住宅ローン担保証券価格の回復もないだろうし、金融機関の損失は確定しないだろう。金融の混乱が収まらないと、景気の回復も難しい。

金融機関による損失の認識や資本増強は4合目から5合目あたり、欧米における住宅価格の下落は国により差があるが、米国などでは5合目を越えたのではないか。総合的に考えると、世界の景気、したがって、日本の景気は今年前半に最悪期を迎え、その後は悪化ペースが緩まるが、回復は来年に入ってからだろう。

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