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09年の株式市場の注目点~大きな政府への転換と広がる「逆利回り革命」

2008年12月29日

三宅 一弘

08年を振り返ってみると、米国発のサブプライム危機の波紋が広がる中で、世界的な信用収縮・金融不安へと発展し、3月のベアースターンズの救済処理、9月のGSE2社(ファニーメイとフレディマック)の救済、リーマン・ブラザーズの破綻、バンク・オブ・アメリカによるメリルリンチ買収、AIGの救済、金融安定化法案の成立、シティなど大手金融機関への公的資金の投入などが実施された。特に9月15日のリーマン・ブラザーズの破綻以降、金融津波(金融危機の深刻化)が世界各国の金融市場や実体経済に大きな打撃を与え、景況感は急激に悪化し、主要国株式市場は弱気相場の様相を強めた。TOPIXは10月27日に2003年3月安値を下回り、バブル崩壊後の最安値を記録するなど、弱気相場に拍車がかかる非常に厳しい1年であった。

09年は、80年代のレーガン米大統領やサッチャー英首相以降、世界各国に広がった「小さな政府」志向が大きな転換点を迎える可能性が高い。リーマン・ショックが契機となって金融津波が世界各国を襲い、今後、第二波が襲ってくる可能性もあるが、次は不況津波(グローバル・リセッション)が押し寄せ、世界的な景気後退と大量失業をもたらす公算が大きいからである。オバマ次期米大統領は、道路や橋など交通インフラ基盤の修復・整備、公共ビルディングのエネルギー効率の引き上げ、学校のIT化などの構想を明らかにしているが、09年1月20日に就任早々、2年間で300万人の雇用創出に向けて公共投資を中心とする積極財政政策に乗り出すだろう。また、欧州が2,000億ユーロ、中国も4兆元の経済対策など、積極財政政策を打ち出すことを明言している。

約30年近く米英を中心に世界的な広がりをみせてきた「小さな政府」路線(典型的には、金融業を典型とする自由化・規制緩和、市場主義、独禁法の緩和や企業活動の自由化、民営化、企業や富裕者層の減税など)は、現在の金融危機、景気後退、失業率の上昇を前に大きく揺らいでいる。主要国は、不況対策と雇用機会の創出に向けて「大きな政府」にカジを切らざるを得ない状況にある。公共投資(政府支出)の増大、巨額な公的資金による経営不振の大銀行や大企業の救済、環境・安全重視の名目での外国製品の締め出し(保護主義)、金融関連規制の強化、大企業や富裕者層に対する増税などが行われるだろう。

加えて、09年は「逆利回り革命」が世界的に広がる可能性がある。2003年そして08年の日本市場では、東証1部の配当利回り>10年国債利回り、が示現されたが、主要各国とも、配当利回り>10年国債利回り、の様相を呈し出している。歴史的にみると、第二次世界大戦が終了し、世界経済・社会が安定化し、経済成長が常態となった1950年代後半から主要国では配当利回りが一般金利水準を下回るようになり、当時、「利回り革命」と称された。その背後には、企業の利益成長に主眼をおいて投資する成長株投資の考え方が定着したことが挙げられ、配当利回り<一般金利の状態が50年間前後続いたわけだ。09年は世界不況とデフレ、紛争多発を反映する形で成長株投資の考え方が世界的に崩れる可能性がある。

日本株の物色面では当面、外需関連株で償却負担の重い重厚長大型が人気離散となり、逆に内需関連株で償却負担の軽い軽量級が市場人気を集めそうである。欧米や新興国の開拓のために多額の投資を行い、人員を増やしてきた固定費負担の重い企業群は、世界不況によって想定需要の成長トレンドが大きく下方屈折し、しかも円高が進行していることなどから大幅減益や赤字の可能性が高い。逆に、円高や原油安に対して恩恵大きい内需関連産業の中で、09年度増収予想で、キャッシュフローが潤沢、配当維持(減配リスクが低い)で高利回り、低固定費負担の軽量級、などの条件の銘柄が市場人気を集めそうだ。

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