フィナンシャル・アドバイザーとは何者か?
2008年12月25日
M&Aにおいて、ときに重要な役割を担うのがフィナンシャル・アドバイザー(FA)といわれる存在である。
FAには一般的に次のような役割が期待されている。
- M&Aに当たっての買い手、売り手の選定(オリジネーション)
- M&Aのスキーム等進め方のアドバイス
- 相手先との交渉に当たってのアドバイス
- 企業価値の算定
- 契約等クロージングのアドバイス
このようにM&Aにおいてオリジネーションからクロージングまでの幅広い全面的なアドバイスを行うのがFAである。
FAのパターンには、(1)売り手と買い手の双方から中立的な立場でM&Aを成功させようとする仲介役のパターンと、(2)売り手、買い手のいずれか一方からのみ依頼されるアドバイザーの2つのパターンがある。
上場会社と非上場会社間のM&Aでは、上場会社にはアドバイザーを立てるが、非上場会社でアドバイザーを立てないケースが多い。なお、最近ではお互いにアドバイザーを立てるパターンが増えているようだ。
FAの報酬体系は、多くのというよりは、ほぼ全てのFAは基本的に成功報酬であるため、何が何でも案件を成立させようという方向に働くことがある。特に買い手側はリスクを負うため、FAの選定には十分な検討が必要となる。そのためには信頼のおける、経験豊富なFAに依頼することが望まれる。
売り手側は出来るだけ高い価格で売却するという主たる目的が達成されれば、このM&Aは成功と言えるかもしれない。買い手側にとっては安く買うことも重要であるが、それだけでは終わらない。買い手にとって契約の成立はスタートでしかない。買い手側としてのM&Aの成功は、買収後のマネジメントで、いかに高いシナジー効果(リターン)を得られるかにかかっている。効果的なM&Aのためには、買収後の経営に関するアドバイスも可能なFAを選定する選択肢もあり得る。
いずれにしても、外資系や日系、大手から、中堅・中小まで様々なFAがいるので、自分が検討している案件に合ったFAを選択することが重要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
議決権行使助言業者規制を明確化:英FRC
スチュワードシップ・コード改訂で助言業者向け条項を新設
2025年06月10日
-
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進に求められるものとは
グロース市場改革の一環として、東証内のIPO連携会議で経営者向け情報発信を検討
2025年06月10日
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
「内巻」(破滅的競争)に巻き込まれる中国自動車業界
2025年06月11日