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会社法と金融商品取引法の内部統制

2008年10月23日

経営コンサルティング部 主任コンサルタント 吉田 信之

会社法の大会社に該当し、かつ上場している企業は、現在2種類の内部統制の整備・構築に追われている。会社法と金融商品取引法で要請される内部統制である。
会社法の内部統制は、コンプライアンスを中心とした業務全般の体制整備を目的としているのに対し、金融商品取引法のそれは、財務報告の信頼性確保を主目的としている。このような目的の違いや、根拠となる法律・制度の違いから、対応する企業では、内部統制の整備・構築を取りまとめる主管部門が異なるケースが多い。例えば、会社法の内部統制は法務部が主管、金融商品取引法の内部統制は経理部が主管といった具合である。

本来、内部統制とは会社の仕組みであって、1つの業務プロセスに対して1つの仕組みを構築することで必要十分のはずである。しかし、上述のように、会社法と金融商品取引法によって内部統制を取りまとめる主管部門が異なるような場合には、営業部門、仕入・購買部門といった現場の部門において、混乱もしくは作業の重複による負担感も見られている。それぞれの内部統制の主管部門から同じような質問を受けたり、同じような資料の提出を求められる、といったケースまで散見される。

下表では、このような作業の重複を避け、会社法、金融商品取引法の内部統制の構築作業を効率的・効果的に行っている企業の事例を取り上げてみた。A社では、それぞれの主管部門で担当領域に関する詳細をマトリックス形式で取りまとめ、明確化している。B社では、質問書を現場に配布する作業を1回で協働して行うことにより、単に手間を省くというだけでなく、問題点の把握・共有化といったシナジー効果創出までも狙っている。
金融商品取引法の内部統制ではいよいよ来年の4月以降から報告書の提出が始まるが、会社法の内部統制との連携がどのように図られているかまでは公表されない。企業にとって、いかに有効かつ効率的な仕組みを作ることができるか、実質的な「内部統制の優劣」については、今後どのような形で作業を連携できるかにかかっているといっても過言ではないだろう。

<参考>
  内部統制の主管部門 業務の連携・担当領域のすみわけ
A社 会社法:コンプライアンス部
金商法:経理部
主管部門マトリックスを作成し、すみわけと連携領域を詳細に決定し、推進
B社 会社法:経営企画部
金商法:内部統制整備プロジェクト
全社的内部統制質問書を軸に整備。質問書に会社法対応として整備すべき項目を組み込んでいる

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吉田 信之

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