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5年後の利益でボーナスを払えばよい

2008年09月01日

原田 泰

格差問題にしろ、サブプライム・ローン危機にしろ、あらゆることが利益至上の市場の行き過ぎのせいにされる。

サブプライム・ローンは、アメリカの低所得者向けの住宅ローンだ。返せない可能性が高いので、その分、金利が高い。ところが、それに関与した人々は、返せないリスクには目をつぶって、高い金利だけを考えていた。

貧しい人々の持ち家を持てるという期待を煽り、サブプライム・ローン契約に持ち込んだ人は手数料を得られる。手数料を得た瞬間に、リスクを他人に渡したわけだ。リスクは住宅ローンを貸し出している銀行にあるはずだが、それは証券化され、市場に売り出された。サブプライム・ローンは高度なファイナンス理論で裏打ちされた安全高収益の資産というふれこみだった。しかし、それに高い格付を与えていた会社は、証券発行会社から謝礼を受けていた。リスクは市場に移った。アメリカの住宅価格は2003年から加速して2007年前半まで上り続けていた。サブプライム・ローンを組み込んだ債券も、この期間は何の問題もなかった。宴は4年間続いた訳だ。

宴の間、サブプライム・ローンで高い金利を稼いだ人々はボーナスを得ていた。ともかく、今稼いでいる形を作りさえすれば良かったのだ。サブプライム・ローンに関与した会社が破綻すれば、最終的な損は金融機関の株主、救済されれば納税者が負担する。ボーナスを得た人は負担しない。

市場が行き過ぎるのは、利益至上主義だからではなくて、その利益が今年限りの利益か恒久的な利益かを判断することが難しいからだ。しかし、高度なファイナンス理論を理解しなくても、長期の利益にボーナスを連動させることはできる。日本のバブルは87年から91年までの4年間、アメリカの住宅バブルも4年間しか続かなかった。1年後の利益ではなくて、5年後の利益に連動させてボーナスを払えば、市場主義の暴走を抑えることができるだろう。5年後のボーナスでは不満な人は、1年限りの利益を追い求める人間だと推測できる。雇わなくて良かったと喜ぶべきだ。

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