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サブプライム危機に翻弄された過去1年間の主要国株式市場

~相場の転機は米住宅投資の底入れ時期がカギ

2008年08月27日

三宅 一弘

サブプライム問題が深刻化して以降、1年間が経過したが、この間、世界の株式、債券、為替、商品市場や世界経済には、サブプライム危機の波紋が広がり、激震が走った。同問題が深刻化する局面では米国経済(世界経済)の先行き不安が強まり、信用不安、投資マネーのリスク回避、ドル安、株安などがほぼ同時的に進んだ。加えて、これに対処するためのFRBによる大幅な金融緩和が過剰流動性などを通じて原油高や穀物高を招き、世界的なインフレ懸念を高めると同時に、新興国を中心にドルペッグ(半ドルペッグ)諸国の金融政策を縛り、インフレ圧力を強めることになった。そして、それらが高成長を遂げてきた新興国経済の減速懸念を引き起こした。さらに日本経済・企業収益に対しても輸出鈍化や原油高などに伴う消費減速を通じて、景気下ブレ、減益圧力を強めた。

逆にサブプライム危機が改善に向かうときは上記と逆の動きになり、米国経済(世界経済)の先行き改善期待が強まる他、信用拡大、投資マネーのリスクテイク、国債金利の上昇、ドル高、株高がほぼ同時的に進み、ややラグを伴いながら、原油や穀物価格が軟化した。これらの動きは新興国を中心とする世界的なインフレ圧力を抑制する。

サブプライム危機の根因は、米住宅バブルの崩壊にあった。結局、米国の住宅不況が諸問題の根源であるため、米国経済や中国経済、世界の金融市場の先行きを占う上で、米住宅投資の底入れ時期がカギを握る。底入れの兆しが強まれば、世界の投資家のマインドは大幅に好転するだろう。

米国の住宅投資の対名目GDP比をみると、ピークの6.3%から08年2Qに3.5%まで低下し、いわゆる3L 問題(不動産、発展途上国、レバレッジドバイアウト向け不良債権問題が深刻化)から景気後退に陥った90 年代初頭の3.3%近くまで調整が進んでいる。住宅投資金額は、ピークの06年1Qから3年の縮小過程を経て09年1Q頃にピーク比ほぼ半減になろう。上記の対名目GDP比ではおそらく3%程度まで低下し、経済社会が安定化した1950年以降では最低値になろう。そのあたりが有力な底入れ候補ではなかろうか。

一方、サブプライム危機に関連する金融機関の損失規模として、IMFの推計値約1兆ドルが注目されている。損失累計額は既に5,000億ドル超に達し、今後、08年7~9月期、10~12月期にそれぞれ、自己資本調達を実施しながら、過去期並みの各期1,200~1,700億ドル程度の損失処理ができれば、08年4Qまでの損失累計額は7,500~9,000億ドル近くに達するだろう。この場合、09年の損失額が急減し、信用不安が後退するだろう。リスクは、金融機関の自己資本調達が進まず、損失処理が大幅に遅れることか。

このように今後半年程度を視野にすると、景気や企業業績の悪化といった実勢悪が強まる可能性があるものの、米住宅市場の底入れや、金融機関の損失計上のピークアウト、原油など商品市況の軟化、ドル高など、ポスト・サブプライム危機の兆しが生じ、日本株はじめ主要国株式相場が転換点を迎える可能性もあり得るだろう。

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