商品と株価からみた為替の局面変化
2008年08月20日
為替市場の動きを、商品および株価との関係から単純にとらえることができるだろうか。ドル、ユーロ、円の主要3通貨について言えば、商品との順相関が強いのはユーロ、逆相関が強いのはドルで、円は両者の間に位置するがドルに近い。また、株価との順相関が強いのはユーロ、逆相関が強いのは円で、ドルは両者の間に位置する。 そこで、局面ごとに通貨に下記のようなポイントを与えることにしよう。
局面パターンは4種類あり、(1)商品高・株高→(2)商品高・株安→(3)商品安・株安→(4)商品安・株高、というように変化しやすいものと考えられる。 すると、(1)の商品高・株高では、ユーロ3、円▲1、ドル▲1となる。実際、2003年3月~07年10月には、ユーロ高が大きく進行するなか、ドル/円は途中で円高方向へ振れたが、始値と終値はほぼ同じ水準だ。(2)の商品高・株安では、ユーロ+1、円+1、ドル▲1となる。2007年10月~08年7月には、ユーロ/円があまり大きくは変化しないなかで、ドル安が進んだ。(3)の商品安・株安では、ドル+1、円+1、ユーロ▲3となる。2008年7月からの商品安局面で、世界的に株価は下がっているとは言いがたいが、これまでのところは低迷している。そうしたなかで、ドルと円に対し、大幅にユーロ安が進んでいる。 このように、商品と株価を為替の二つの変数ととらえることで、実際の為替市場の動きをある程度は説明ができる。今後はいずれ、世界的に景気が減速していくとの懸念よりも、商品安がコストを下げることによって景気が回復していくとの期待が強くなり始め、(4)の商品安・株高へと局面は移行していくはずだ。上記ポイントは、ドル+1、円▲1、ユーロ▲1となるので、ドルの優位が続く中で、次第にユーロ安・円高は収まっていくのだろう。 |
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