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流れは変わり始めた

2008年08月06日

リサーチ業務部 主席研究員 小林 卓典

ドル安、原油高という流れは、ドル高、原油安という流れに変わりつつある。原油価格の下落は、インフレリスクを低下させ、金融引き締めに動かざるを得なくなった各国中央銀行の政策の自由度を回復させるだろう。原材料価格の上昇によって収益が圧迫されている企業にとっても歓迎すべき状況変化である。ただし、原油価格の下落が単に投機的要因の剥落を主体とするものなのか、世界経済の失速を示唆するものなのかは、まだ判然としないが、後者の影響が大きいとすれば、輸出が唯一の経済成長のけん引役である日本にとっては苦しいところだ。

日本の景気循環は過去から実に単調であり、輸出の不振を起点に生産活動が変調をきたし始めると景気後退の可能性が高くなってくる。今回も過去数ヶ月の生産と輸出の動きからみれば、たとえ軽度であっても日本がすでに景気後退入りしている可能性は否定できない。いずれ政府も公式に景気後退の認定を行うことになるのではあるまいか。信用不安の震源地である米国が、ドル安の後押しもあり輸出を拡大させ、かろうじて景気後退を回避しているのに較べると、一足先に景気後退が濃厚となった日本には、やはり外部環境の変化に対して脆弱という印象は否めない。

先行きには様々な不確実な面があるとは言え、ドル高と原油価格の反落は、過熱した新興国経済の調整を伴いながらも、やがて世界経済の安定化に繋がってくるだろう。政府は景気対策の取りまとめに着手したとされるが、当面は市場の変化を注視すべきであり、中途半端かつ性急な対応は避けたほうが良い。今のところ景気後退の程度は軽く、世界経済は新しい均衡点を模索し始めたばかりなのだから。

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