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消費税増税論の盲点

2008年08月01日

原田 泰

日本の高齢者は、平均では豊かな消費生活を楽しんでいる。日本の全消費のうち世帯主が60歳以上の家計が占める比率は38.8%であり、65歳以上でも28.1%となっている(家計調査2007年より計算)。60歳以上と65歳以上の差が多すぎるのではないかと思われるかもしれないが、60-69歳の家計で全世帯の21.8%の消費をしているので、これは計算間違いではない。

周知のように、日本の人口は急速に高齢化していく。65歳以上人口の全人口に対する比率は、2007年には21.5%だが、2052年には40%となる。65歳以上人口の上昇と比例的に65歳以上の世帯主の家計の消費が伸びていくとすると、全消費に対するその比率は、2026年には40%を超え、2045年には50%となる。2050年には、全消費の半分以上が65歳以上の家計の消費となる。

高齢化する日本の社会保障支出を賄うためには消費税しかないと言われるが、2050年には、その消費の半分が65歳以上の家計のものとなる。65歳以上の人にも消費税を負担してもらわないと、とうてい負担できなくなるが、そのことを人々は理解しているだろうか。過去の消費税導入時と引上げ時には、その分を年金給付額に加算している。今後、消費税引上げ時に年金給付額を加算すれば、1%で2.7兆円と言われている消費税の実質税収額は、差し引きすればその半分になってしまう。年金保険料と税金は違うと言うのは屁理屈にすぎない。どちらも政府が取りたてるお金だ。

日本の将来の財政負担を解決するには消費税引き上げが必要だと多くの人が論じているが、本当に必要なのは、将来の消費税引上げ時に、それを年金給付額に加算しないことについて国民の同意を得ることだ。

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