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大幅な原油高でも金利が低下する訳

2008年07月07日

奥原 健夫

6月21日にS&PがGM、フォード、クライスラーの米国自動車会社3社を格下げ方向で見直しすることを発表し、再び格下げ(見通しも含む)に注目が集まっている。2007年8月のサブプライム・ショックから2008年3月のベア・スターンズ・ショックまでは資産担保証券、モノライン会社、投資銀行の格下げなどが中心であったが、それらに加え、主要事業会社にも影響が及び始めた。特に米国自動車3社の格下げ見通しがガソリン価格の高騰による財務の悪化を理由にしたものであったため、金融不安とインフレ・リスクの増大が実体経済に波及していることを示している。

6月半ば以降、WTIが上昇を続けているにも関わらず、日米の10年債利回りは大幅な低下となっている。10年債利回りは期待インフレ率と実質金利(物価連動国債利回り)に要因分解でき、また実質金利は、成長期待(期待実質成長率)と連動して動くと考えられている。上記の事象をあてはめると、現在は期待インフレ率の上昇を上回る期待実質成長率の低下が起こるという見方が原因となって10年債利回りが低下している。もはやWTIの上昇は経済を押し下げる要因であり、上昇すればするほど経済は悪化を辿ることになる。

一方、WTIが大幅に調整となった場合には、デフレ効果から、期待インフレ率と期待実質成長率がともに低下するであろう。このことからWTIが上昇しても、下落しても米国経済は減速が避けられないということが示唆される。米国経済、そして世界経済の試練はこれからが本番ということになる。

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