大幅な原油高でも金利が低下する訳
2008年07月07日
6月半ば以降、WTIが上昇を続けているにも関わらず、日米の10年債利回りは大幅な低下となっている。10年債利回りは期待インフレ率と実質金利(物価連動国債利回り)に要因分解でき、また実質金利は、成長期待(期待実質成長率)と連動して動くと考えられている。上記の事象をあてはめると、現在は期待インフレ率の上昇を上回る期待実質成長率の低下が起こるという見方が原因となって10年債利回りが低下している。もはやWTIの上昇は経済を押し下げる要因であり、上昇すればするほど経済は悪化を辿ることになる。
一方、WTIが大幅に調整となった場合には、デフレ効果から、期待インフレ率と期待実質成長率がともに低下するであろう。このことからWTIが上昇しても、下落しても米国経済は減速が避けられないということが示唆される。米国経済、そして世界経済の試練はこれからが本番ということになる。
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