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胡錦涛総書記のネットデビューは何を意味するのか?

2008年07月03日

肖 敏捷

先日、中国の胡錦濤総書記は人民日報を訪れ、インターネットを通じて一般市民と約5分間の質疑応答を行った。事前に予告したため、「網民」と呼ばれるインターネット利用者からは、300を超える質問が寄せられた。国内外のさまざまな難題を抱え、解決に奔走するはずの胡錦濤氏が、なぜこの時期にネットデビューという奇抜な行動をとったのか?

中国では、インターネットユーザー数は2億人を超え、世界一位と言われている。中国の新聞やテレビなどのマスメディアはすべて政府の監視下に置かれ、インターネットも例外ではない。ただし、インターネットに対し、従来通りの検閲制度は形骸化されつつあるのが実状だ。「博客」(中国語でブログの意)を覗いてみると、新聞や雑誌では決してみられない政府批判や政策論争が日常的に行われている。今回の四川大地震で情報伝達の驚異的な力を発揮したインターネットや携帯電話も、検閲制度に頼っている共産党にとっては大きな脅威に違いない。

北京五輪組織委員会が、五輪開催期間における報道の自由を約束したことは、歓迎すべき対応である。問題は五輪後、その規制が再び強化されるのか、それとも緩和されるのかということであり、大きな注目点となっている。従って、胡錦涛総書記のネットデビューは、北京五輪後の報道規制のあり方を意識した動きではないかと考えられる。

80年代の後半、台湾が報禁(新聞発行の規制)を解除し、これはその後の台湾の民主化の実現に繋がった。民主化は中国大陸にとって時期尚早かもしれないが、北京五輪というチャンスを活かし、報道規制の緩和を実施すれば、胡錦涛政権が目標に掲げる「調和社会」の実現に向けた大きな一歩を踏み出すことになろう。「洪水の氾濫を防ぐには、堰き止めるのではなく、また流れに逆らうのでもなく、分流することが大事だ」という古人の教えがある。日ごろから国民が怒りや不満をぶつけられるガス抜きの場を提供し、民意に耳を傾ける姿勢が、マグマの勢いを和らげるはずだ。

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