ユーロ「導入」

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2008年06月27日

  • 渡邊 眞
1999年1月に銀行間取引通貨としてヨーロッパ単一通貨「ユーロ」が誕生して、今年は10年目にあたる。実際の紙幣や硬貨が流通したのは2002年1月からなので、その意味では7周年ということになる。「導入」国は当初の11カ国から、2001年にギリシャ、2007年にスロベニア、2008年にキプロス、マルタが加わり、現在15カ国である。スロベニアはいわゆる中欧諸国としては、一番乗りであった。2009年からは、その二番手として、スロバキアでの導入が確実視されている。

ユーロ「導入」には、欧州中央銀行などが定めている一定の基準を満たさなくてはならない。基準が満たされると、実際のユーロ「導入」予備段階として、ERM-Ⅱというシステムをまず取り入れ、自国通貨の対ユーロ安定性などが検証される。中欧諸国でERM-Ⅱを導入しているのは、現在、実際の「導入」が間近なスロバキアだけである。日本企業の生産拠点(特に自動車、自動車部品、家電関連)として確固たる地位を占めている、ポーランド、チェコは、この基準をまだ満たしていない。このため両国でのユーロ「導入」は早くて2012年頃になりそうである。昨今、両国では自国通貨高などで、海外企業誘致政策の変更も迫られているとも言われている。

先日、ポーランドのワルシャワとチェコのプラハを訪れる機会があった。もちろん両国とも空港で両替はできる。しかし、街中ではちょっと差異がある。ワルシャワでは、たまたまホテルのATMの調子が悪かったため、ちょっと離れた両替所に行ってズウォティを手に入れる必要があった(両替所はいたるところにあるとのことである)。プラハではそもそもコルナへの両替はまず必要がない。ユーロを持っていればよいのである。街中のいたるところ、コルナ建てとユーロ建て双方の価格表示が目に付く。ユーロ建て表示をしていなくとも、コンビニのようなところで飲み物を買うにもその場で計算しユーロで支払いOKなのである。お釣りはコルナで、というケースもあるが。ということは、ユーロ「導入」って何だろう。そういえば、ちょっと次元は違うかもしれないが、モスクワの空港の免税店も、価格表示はユーロ建てまたはドル建てで、ルーブル建ては書かれていない。

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