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話題沸騰のSWF議論を一歩引いて考える

2008年04月17日

尾野 功一

政府が管理する資金を運用する「Sovereign wealth funds(SWF)」が話題を呼んでいる。最近では、サブプライム問題による損失に揺れる欧米金融機関に対して、新興地域のSWFが相次いで出資を決定し、新たな投資家としての存在感を強く認識させている。

一般的なSWFのイメージは、政府(公的)部門が保有する資産を海外向けの投資で運用することである。近年の原油価格高騰を受けて、原資となる原油関連収入(税収)が増大し注目が高まる中東、ロシア、ノルウェーなど産油国のSWFはこの代表格である。ところが、SWFと呼ばれるものには、国内投資の比重が高いものも含まれており、必ずしも海外投資の大小がSWFの特徴を明確に表しているわけではない。

また、通貨当局が管理する外貨準備を運用するSWFは、歴史のあるシンガポールの”The Government of Singapore Investment Corporation (GIC)”や、世界一の外貨準備を保有する中国の”China Investment Corporation”の注目度が高い。一方で、ノルウェーの外貨準備は、同国の原油収入を原資とするSWF(The Government Pension Fund - Global -)と類似する運用が行われ同じく中央銀行によって管理されているにもかかわらず、話題にのぼることはまずなくSWFにも分類されていない。

つまり、今日一般的にSWFと呼ばれているものは、あくまでもおおまかに区分けされたものに過ぎず、必ずしも明確な定義に基づいているわけではない。定義によっては、SWFの総体規模は増えることも減ることもあるが、そのことによってSWFの影響力が実質的に変化するわけではもちろんなく、また、資産規模が大きいと推定されているSWFは比較的歴史が古く、今日になって突如出現したものでもない。

IMFによると、現在のSWFの規模は全世界で2-3兆ドルと推定されているが、世界の経済規模は約50兆ドル弱(2006年)である。原油価格の高騰が永続すれば、産油国を中心にSWFの規模は世界経済よりも速いペースで拡大するだろうが、それが最も起こりうるシナリオとはいい難い。また、世界中で経済的な連携と競争が強まり、それと同時に経済効率性が追求されるグローバル化経済のもとで、経済活動や資産運用を政府部門が主導する経済構造が適切で、それが今後の世界の主流になるとの見通しにも無理がある。SWFの前途は、無条件に開けているのではなく、いくつかの流動的な要素に依存している。SWFを有力な投資主体の一部として認識するにしても、その話題性に過敏に反応するのではなく、一歩引いて考えるのが適切と思われる。

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