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介護型療養病床と介護老人保健施設の中間施設「介護療養型老人保健施設」の創設に思うこと

2008年04月10日

竹内 慈実

2005年12月に厚生労働省は、医療費適正化を目的として、2011年度末を目処に約13万床ある介護保険適用の療養病床(※1)を廃止するとともに、23万床ある医療保険適用の療養病床(回復期リハビリテーション病棟を除く)を15万床に削減することを発表した。同省は、「療養病床」の転換先として、介護老人保健施設(※2)や特定施設(※3)などを示した。だが、その種の施設では、医療的支援を必要とする入所者のニーズに必ずしも十分に答えられないのではないかという心配もあった。そこで、厚生労働省は、2011年までに廃止・削減される、医療機関が運営する療養病床を対象に「介護療養型老人保健施設」という新しい形態の施設を創設し、本年5月より施行する見通しとであることを発表した。

この介護療養型老人保健施設は、既存の介護老人保健施設などでは対応することが難しい、入所者の医師による医学的管理(平日昼間)や、看護師による日常的な医療処置への対応(夜間)、看取りの体制などを特に強化する、介護型療養病床と介護老人保健施設の中間施設と位置つけている。また、医師の配置数を療養病床の3人から1人(看護職員の24時間配置の義務付けや、看護、介護職員の配置数は療養病床のそれと変わらない。)にすることで、同施設の基本報酬(入居者1人当りの月額基本施設サービス費)を介護療養病床より約7万円低い33.4万円(要介護5、多床室の場合で、自己負担分を含む総額費用額。食事・居住費を除く。看取りに関しては、別途加算される。)に設定し、保険料にも配慮する見通しである。

ところで、そもそも介護療養型老人保健施設創設の目的は、介護療養病床の医療的支援を必要とする入所者をまず適切な施設でケアすることで、医療政策をできるだけソフトランディングさせることにある。専門家の意見の中には、上記のような医師の配置数や報酬額では、期待される機能を十分に果たせず、利用者は必要な医療的支援を受けられなくなる可能性があるという厳しいコメントもある。増大する医療費の抑制は重要な社会経済的課題であるが、公共福祉サービスの本来のあり方にも十分考慮して、バランスのとれた政策展開を期待したい。

(※1)療養病床は、主に医療ニーズの高いあるいは医師による医学的管理や看護職員による医療処置頻度の高い高齢者に対して必要な医療・介護サービスを長期にわたり提供する病院あるいは診療所の病床のこと。

(※2)介護老人保健施設は、要介護者に対して、医学的管理の下で介護や機能訓練などを提供し、在宅復帰を目指す、いわゆるリハビリテーション施設のこと。

(※3)特定施設は、介護付き有料老人ホーム、グループホーム、ケアハウスなど、都道府県から指定を受けて介護サービスを提供する施設のこと。

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