ピープルズ・バブリズム
2008年04月01日
住宅価格の上昇を当て込んで人々が借金をして家を建て続けた結果が、アメリカのバブルだ。住宅投資のGDP比率は4%台だったものが6%台にまで上昇した。日本でも80年代末に地価が高騰したが、住宅投資は盛り上がらなかった。土地が上がりすぎて、人々が住宅を買えなくなったからだ。住宅投資の対GDP比率は、不況だった80年代央の4%台から5%台にはなったが、それは80年代前半の水準と同じだった。
せっかく夢のマイホームを建てたのに、それを手放さなければならなくなるのは悲劇だ。しかし、日本のバブルの場合には、地価高騰で建てることが不可能になった。アメリカの場合、住宅はたくさん建った。国全体としては、住宅が増え、アメリカの誰かがその家に住める。高度成長時代、野心的な投資をした企業の社長は、たとえ自分の会社が潰れても設備は残り、日本のためになると言ったという。建てられた住宅は、アメリカのためになる。
アメリカでは、人々がバブルに乗り、日本では企業がバブルに乗った。企業は、商業用不動産やリゾート施設や海外不動産につぎ込んで大損をした。企業の利益が上がったら、不動産につぎ込むより、ボーナスでも配当でも良いから、すぐさま人々に配ってしまっていたらどうだっただろうか。そうすれば、日本でも人々がバブルに踊れたかもしれない。企業がバブルに踊るより、人々がバブルに踊った方が、ずっとましな結果になったのではないだろうか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月20日
日本経済見通し:2021年1月
1-3月期は小幅な景気悪化を見込むも「二番底」リスクを排除できず
-
2021年01月20日
日本経済中期予測(2021年1月)解説資料
~コロナ禍で変容する世界経済と加速するグリーン化の取組~
-
2021年01月20日
日本経済中期予測(2021年1月)
コロナ禍で変容する世界経済と加速するグリーン化の取組
-
2021年01月20日
中国:V字回復下の中国経済の注目点
感染第2波は回避へ。注目される接触型消費の完全復活の成否
-
2021年01月20日
新たな科学技術・イノベーション政策への期待
よく読まれているコラム
-
2020年10月19日
コロナの影響、企業はいつまで続くとみているのか
-
2015年03月02日
宝くじは「連番」と「バラ」どっちがお得?
考えれば考えるほど買いたくなる不思議
-
2020年10月29日
コロナ禍で関心が高まるベーシックインカム、導入の是非と可否
-
2006年12月14日
『さおだけ屋は、なぜ潰れないのか』で解決するものは?
-
2018年10月09日
今年から、夫婦とも正社員でも配偶者特別控除の対象になるかも?
配偶者特別控除の変質