チャイナ・マネーの日本株投資について
2008年03月18日
中国国内機関投資家による海外資産運用であるQDII(Qualified Domestic Institutional Investors)は、証券会社・ファンド、銀行、保険の3本柱で構成されており、2月22日には、銀行QDIIによる日本の株式市場への投資解禁が発表された。これにより、銀行QDII(国家外貨管理局による投資認可額は166億米ドル)は、従来の香港、英国、シンガポールに加え、日本の株式市場および金融庁が認める公募ファンドへの投資が可能になったのである。低迷が続く日本の株式市場関係者の間では、チャイナ・マネーへの期待が膨らんでいるが、残念ながら、当面の効果は極めて小さい。海外株式投資で先行する証券会社・ファンド(投資認可額275億米ドル)について、日本株への投資状況をみると、昨年9月以降、南方、華夏、嘉実、上投モルガンの4基金が合計1200億元(約1兆8000億円)の投資信託を設定したが、昨年末時点の日本株投資比率はわずか1.9%にとどまっている。
現在のQDII3本柱の投資認可額は500億米ドル超であり、仮にその2%が日本株に投資されても10億米ドルにとどまり、マーケットへの影響はほとんどない。現状では投資可能額が小さい上、日本市場の過去の運用成績の相対的な悪さがネックとなり、選好性は高まらないと予想される。
とはいえ、日本株投資の魅力について、現地金融機関にヒアリングしたところ、日本企業の持つ高い技術力を評価する向きが多く、世界的認知度の高い国際優良企業や、省エネ・環境などで最先端の技術を有する日本企業などへの注目度が高い。特に省エネ・環境分野では中国国内に魅力的な投資先が少ないために、日本株を組み込むことでポートフォリオのセクター分散や優良化が図れるとの指摘が聞かれた。チャイナ・マネーを日本株市場に積極的に取り込んでいくには、こうした国際優良株や高い技術力を持つ銘柄群に投資するファンドの組成を提案するのも一案である。
当面の効果は期待できないにしても、長期的にはその動向への注視が必要である。具体的には、(1)2000億米ドルの運用資産(海外株式運用資産は約667億米ドル)を有する外貨準備運用機関CIC(中国投資有限責任公司)が、近々世界の株式市場での運用を開始する(中国の外貨準備は昨年1年だけで4619億米ドル増加しており、早晩運用額が上乗せされる可能性は高い)、(2)昨年8月に解禁の方針が示されたものの、未だ実現していない個人投資家による海外証券投資も、年内解禁の憶測が出ている。特に、(2)について、2007年末の個人金融資産は、銀行預金(2.37兆米ドル)と個人保有の国内株式市場流通時価総額(0.66兆米ドル)だけで約3兆米ドルに達する。個人投資家の海外証券投資は、解禁当初は香港の上場証券に限定されるが、将来的には日本株投資も解禁されよう。中国当局による規制緩和が進展するほど、日本株投資の原資も大きくなるわけで、今後の動向には要注目である。
現在のQDII3本柱の投資認可額は500億米ドル超であり、仮にその2%が日本株に投資されても10億米ドルにとどまり、マーケットへの影響はほとんどない。現状では投資可能額が小さい上、日本市場の過去の運用成績の相対的な悪さがネックとなり、選好性は高まらないと予想される。
とはいえ、日本株投資の魅力について、現地金融機関にヒアリングしたところ、日本企業の持つ高い技術力を評価する向きが多く、世界的認知度の高い国際優良企業や、省エネ・環境などで最先端の技術を有する日本企業などへの注目度が高い。特に省エネ・環境分野では中国国内に魅力的な投資先が少ないために、日本株を組み込むことでポートフォリオのセクター分散や優良化が図れるとの指摘が聞かれた。チャイナ・マネーを日本株市場に積極的に取り込んでいくには、こうした国際優良株や高い技術力を持つ銘柄群に投資するファンドの組成を提案するのも一案である。
当面の効果は期待できないにしても、長期的にはその動向への注視が必要である。具体的には、(1)2000億米ドルの運用資産(海外株式運用資産は約667億米ドル)を有する外貨準備運用機関CIC(中国投資有限責任公司)が、近々世界の株式市場での運用を開始する(中国の外貨準備は昨年1年だけで4619億米ドル増加しており、早晩運用額が上乗せされる可能性は高い)、(2)昨年8月に解禁の方針が示されたものの、未だ実現していない個人投資家による海外証券投資も、年内解禁の憶測が出ている。特に、(2)について、2007年末の個人金融資産は、銀行預金(2.37兆米ドル)と個人保有の国内株式市場流通時価総額(0.66兆米ドル)だけで約3兆米ドルに達する。個人投資家の海外証券投資は、解禁当初は香港の上場証券に限定されるが、将来的には日本株投資も解禁されよう。中国当局による規制緩和が進展するほど、日本株投資の原資も大きくなるわけで、今後の動向には要注目である。
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経済調査部
経済調査部長 齋藤 尚登
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