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ギフト市場における需要の変化と新サービス

2008年02月18日

梶 宏行

「カジュアルギフト」需要に対応する「体験型」サービスの拡大

ギフトの市場規模は17兆円という調査もあるが、信頼性の高い公的統計はない。利用者次第であらゆる商品がギフトになり得るため、企業ベースでも商品ベースでも測定が困難なためである。ただ、歳暮・中元や冠婚葬祭の返礼などの儀礼的なギフト(「フォーマルギフト」とも呼ばれる)の需要は、景気後退や「虚礼廃止」のトレンドの中で減少傾向が続いているもようである。ギフト商品やカタログギフトの卸事業のトップ企業であるシャディ(株)(2007年9月にUCCグループが100%出資し、上場廃止)の連結売上高が、上場廃止前の07年3月期までの5年間で20%以上減少したことも、そうした傾向を示している。

一方で、親しい個人間でコミュニケーションの一環としてギフトが贈答される(「カジュアルギフト」とも呼ばれる)需要は拡大しているとみられ、成熟市場であるギフト市場の中で成長分野として期待されている。

カジュアルギフトはフォーマルギフトと異なり目的が多様であり、ギフトの贈り手は定番商品以上の価値を相手に贈ろうとするニーズが強い。また、ギフトの受け手である個人の嗜好も多様化している。従来のカタログギフトはフォーマルギフトを中心に拡大してきたが、カジュアルギフトでは利用者の要求水準が高く、それに対して十分な品ぞろえを提供できていなかった面がある。

しかし最近では、カタログギフトにおいて商品の多様化が著しい。海外高級ブランド陶器や高級和菓子、希少な産直品など、従来見られなかったプレミアム商品に注力して独自性を発揮し、成長している未上場企業もある。

カタログギフトにおいて、各種サービスの利用券のような「体験型」のギフトが拡大している点も注目される。旅行券や高級旅館などが中心だが、最近では、有名ライブハウス、陶芸教室、ハウスクリーニングなど、多様化が進み、カタログギフトの看板商品となりつつある。さらに、人間ドックや生活習慣病の検査等を掲載したカタログのような斬新な試みも見られる。

これらは、「モノ」のギフトに対して「コトギフト」などとも呼ばれる。基本的には、知名度が高く高級感のあるサービスや、経済的に余裕のある層が利用するようなサービスが多い。「興味はあるが、わざわざお金をかけるほどではない」サービスに対する潜在需要を、ギフトとして贈られることにより顕在化させる効果が期待できる。

ギフト市場全体は横ばいといわれ、主要企業の業績は一般的に芳しくないが、その一方で、需要の変化に伴う新たな事業機会は存在する。新たな成長企業の動向が注目される。

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