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日本企業よ、大志を抱け!~日本人にこそ保有してもらいたい株式とは

2008年02月06日

三宅 一弘

日本株は、主要市場対比で2年連続相対パフォーマンスが著しく低迷し、独り負けであったが、08年も厳しい幕開けになっている。投資家全般が日本の将来に対して不安感を強めているところに低迷の一因がある。極端に言えば、日本の長期停滞観測が強まる中で、一手買いを続けてきた外国人投資家が日本株を素通りしだしたという見方である。一方で、日本人自身も、外貨建て債券や新興国の株式・投信は積極的に買っても、日本株に資金を振り向けない。日本経済、株式市場を取り巻く環境は厳しさを増しつつあるが、日本政府に危機感が乏しく、高齢化が進む中で個人の行動も内向き志向で、日本社会に閉塞感が広がっている。

日本経済を救うのは結局、企業(起業家精神)しかないが、その企業はどうか。将来展望が描けず「茹で蛙」(ジリ貧)化する内需型企業が増えている気がする。例えば、内需関連企業と外需関連企業の予想EPSやROE(株主資本利益率)をみると、01年末~02年初頭をボトムに外需企業も内需企業も急速な回復を遂げ、それにやや遅行する形で株価が急回復をみせた。ただし、内需企業に関しては06年春以降、(1)リストラ効果の一巡、(2)原材料費などのコスト上昇、(3)内需の緩慢(雇用・所得環境の低調)、(4)収益拡大のための成長戦略の欠如などが響き、収益環境が悪化しつつあり、ジリ貧化のリスクが大きくなっている。 結局、積極的に世界に打って出る大志や大望の企業こそが日本(株)を救う。そうした大望の企業を応援し、茹で蛙化する日本企業に対して、もう一度、大望を抱かせ、企業活性化(日本経済の活性化)を図れるのか。今後の大きな課題であり、それが株式市場の役割でもある。

ところで、日本人にこそ買ってもらいたい株式とは何か、といった視点が併せて重要になる。高齢化が進む国内経済は中長期的観点からみれば成熟化が避けられず、給与所得も不動産・金融資産も低成長の制約に縛られる。一方、海外経済(世界経済)は、米サブプライム問題など不安・懸案事項が多いのも事実だが、中国、インドをはじめとするアジア諸国、ロシア・東欧、中南米、中近東など、30億人を上回る人々が豊かさを求めて成長・発展過程にある。2000年代初頭以降、世界経済に地殻変動が生じており、新興国が世界経済の牽引役になる形で、それ以前に比べて世界経済の成長率が上方シフトした可能性が高い。世界経済全体で見れば減速すれども4%程度の高めの成長が維持されそうである。多くの場合、海外に打って出る以外に日本企業は成長ビジョンを描けないが、前向きに捉えれば、リスクを伴いながらも絶好のビジネスチャンスが海外には存在していると言える。

日本人が新興国など海外経済の高成長の恩恵を享受するためには、多国籍展開を進める企業の株式を保有する以外に手はない。こうした企業に勤める日本人もある程度は、海外経済高成長の恩恵を享受できるかも分からないが、過度の期待は難しい。こうした多国籍企業の収益は海外現地法人で生まれ、再投資されていくし、海外現地法人の収益は現地従業員への配分に回されるだろう。また、日本人が、直接、新興国の株式や投信を保有するのも悪くないが、新興国の為替リスク、政治・経済・産業・企業などに対する情報入手の問題、会計情報やガバナンス、流動性などの問題を加味すると、新興国で活躍する日本の多国籍企業の株式は、現地株式・投信と比べて十分に魅力的である。

結局、日本に住む日本人(日本国民)が、海外経済高成長の恩恵を享受するためには世界一を目指すような大望のある多国籍企業の株式を保有する以外に手はない。そうした企業は株主還元にも前向きに取り組んでおり、保有する日本人は海外経済高成長の恩恵を享受できる。日本人が内需の長期停滞をヘッジするために不可欠な手段である。政策面では401kの大幅拡充など証券・法人税制の大改革が切望される。日本企業の株主構造が、カタカナの株主(欧米機関投資家など)から、漢字の株主(中国人投資家など)などへ交代していくときに、政府も企業にとっても真の危機感が生まれるときであろうか。

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