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自社ブランド展開を図る台湾ハイテク企業

2008年01月21日

杉下 亮太

台湾のハイテク企業といえば、OEMに特化しており自社ブランドは手がけないことが大きな特色として知られてきた。PCの出荷台数シェアでHP・デルに次ぐ世界第3位となったAcerは、ほぼ唯一といってよい例外的な存在であった。

ところが近年、Acer以外にも自社ブランドを展開する企業が散見されるようになってきた。たとえば、ASUSTeKである。世界最大のマザーボードメーカーとして知られる同社は以前から自社ブランドのマザーボードも手がけてきたが、マザーボードは完成品でないこともあって、Acerほどの知名度はなかったといえる。しかし、自社ブランドのノートPC事業が軌道に乗り始め、07年は出荷台数シェアで10位以内に入ったものと見られている。欧州とアジアでシェアはより高く、5-6位につけている。同社はまた、07年末に市場投入を開始した7インチの小型モバイルPC「Eee PC」が240-420ドル(台湾での価格)と低価格であることから大きな話題を呼んだ。07年の「Eee PC」出荷台数は35万台程度であったと推定され、08年は400-500万台の販売を計画している模様である。

次の例はMiTACである。デル向けのデスクトップPC OEMメーカーとして知られてきたが、06年頃からポータブルGPS(PND)が成長のけん引役となった。08年は売上の5割以上がPNDになると予想されている。日本ではカーナビは据付型が主流だが、欧米などではディスプレイが3.5/4.3インチのPNDが主流であり、現在本格的な普及期に入っている。PND市場では米Garminと蘭TomTomが二大ブランドとして知られているが、これに次ぐ第3位のシェアを誇るのがMiTACのMioである。

テレビでも台湾ブランドが知られるようになった。北米の液晶テレビ出荷台数シェアで2Q07に1位、3Q07に2位を記録したVizioである。Vizio自体は米国で設立された企業だが、台湾のAmTRANが大株主となっており、AmTRANはVizioを自社ブランドと位置づけている。AmTRANは、元々はモニターのOEMメーカーだったが、Vizioの成功によって台湾を代表するテレビメーカーとなった。

このように、単一の製品に限られているとはいえ、元々はOEM系メーカーだったのが、自社ブランド展開を図って成功する例が出てきた。背景にあるのは、OEM事業の収益性悪化だろう。PCブランドからの値下げ要求とOEMメーカー同士の過当競争によって、台湾のPC OEMメーカーは営業利益率が今や2-3%まで低下した。MiTACとAmTRANについては四半期ベースで赤字転落したこともある。このような環境下でPCのOEMメーカーが過去最高益をなかなか更新できずにいる一方、ASUSTeKは07年に3年連続で過去最高益更新を実現したものと予想されている。MiTACは営業利益率が四半期ベースで過去最高の7%台まで改善した。AmTRANも06-07年と連続して過去最高益を更新したと推定される。

ここに例を挙げた企業以外にも、自社ブランドも志向するようになった台湾のOEMメーカーはいる。価格の厳しいPC OEM事業では、EMS化を目指さないかぎり大きな成長はもはや期待しづらい状況となった。自社ブランドへの挑戦はリスクも大きいが、新たな成長段階に入る可能性も秘めている。今後どのような台湾ブランドが登場するか、見守りたい。

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