え!ニューヨーク・マンハッタンがバイオ医療産業の一大クラスターになる?
2008年01月17日
ニューヨーク・マンハッタン。この言葉の響きから描き出されるイメージからすると、違和感を抱く人も少なくなかろう。だが、今、このマンハッタンを、バイオ医療産業の一大クラスターとして、ひのき舞台に登場させようとする大プロジェクトが動き出している。米国でのバイオ医療産業のメッカとしては、ボストン、ワシントン・バルチモア沿線、サンフランシスコやサンディエゴなどが広く知られている。これに割って入ろうと、ニューヨークが詔をあげたというわけだ。 あまり詳細には知られていないが、ニューヨーク市には、115社以上のバイオ系企業があり、ヘルスケア分野に投資を行うベンチャーキャピタルも125社以上ある。ファイザー社やブリストル・マイヤースクイブ社など有力ビッグファーマが本社を構え、病院は72施設もあり、医師は3万人も働いている。そして、全米で行われる、がんに関する臨床試験の半分以上は、ニューヨーク市で実施されているという。さらに、コーネル大学、コロンビア大学、ニューヨーク州立大学などの各メディカルセンター、HospitalforSpecialSurgery、MountSinaiHospitalなど、全米でもトップクラスの医学研究機関も多数集積し、イースト・リバー沿いにメディカル・サイエンス・コリドーを形成している(表1)。 次世代を担うバイオ医療産業を創生する足るポテンシャルは十分に備わっている。 現在、進行中の目玉は、バイオ医療系ベンチャー企業の創生のためのインキュベーション施設であるイースト・リバー・サイエンス・パーク(ERSP)の建設である。投資額は7億ドルで、2009年の完成を目指している。施設が完成すると、10万平米のスペースが事務所や研究施設として、賃貸できるという。本プロジェクトにより、バイオ分野で2000人の雇用創出効果を見込んでいる。さらに、注目されることに、この施設、実は建設資金調達から運営・管理をAlexandriaRealEstateEquities.Inc.という不動産投資信託企業(ニューヨーク証券取引所上場企業)が担当するという。今年は、野球に加え、バイオでもニューヨークを注目してみる必要がありそうだ。 表1 ニューヨーク・マンハッタンにおけるバイオ医学研究機関
記載順は、ABC順。 出所 New York City Bioscience Initiative |
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。