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2008年の日本株見通し ~中国の強い需要、米国の金融緩和~

2008年01月09日

三宅 一弘

日本株は主要市場比較で約2年間にわたり低迷が際立ち、特に2007年は著しく劣後した。ただし、今後は、相対パフォーマンスの改善余地が出てくるとみている。一因は、収益やROEなどファンダメンタルズの改善が進み、株主還元の強化が図られる中で、日本株が2年近く低迷し、割安感が強くなっている点である。日本株の魅力の一つは、割安かつ健全会計の下で、巨大新興国の高成長の恩恵を享受できるところにある。また、低迷が続いた内需株もダウンサイドリスクは低減し、上振れ余地が出てきたようにみるからである。

08年は、世界の大国である米国とロシアの大統領が交代する年に相当し、大変重要な年になるだろう。日本も衆院選が行われる可能性が高く、結果次第で大きな変化が出てくると考えられる。特に米国では、11月4日の大統領選挙に向けて選挙活動が展開されるが、民主党が大統領、上下両院を支配する可能性があり、ブッシュ政権時代に比べて、保護主義的色彩(自由主義の後退)や、格差是正の動きなどが強まるだろう。企業や富裕者に対する税優遇の削減と社会保障拡充、イラクからの撤退、環境問題への積極的な取り組みなどが予想されるほか、対米主要貿易黒字国の中国、場合によれば日本との間で、貿易摩擦が強まる可能性もあり、為替にも影響が出てきそうだ。

サブプライムローン問題は、当初想定されていた以上に波紋が広がっており、今後、金融機関の自己資本の毀損や破綻、クレジット・クランチ(※1)やバランスシート不況(※2)(デット・デフレーション)へと発展していくのか否かが要注目となろう。金融機関の自己資本の痛み具合が一連の悪循環を決めるカギになりそうだ。金融政策面では、実質的に住宅保有者および金融機関の救済のために、継続的に利下げが行われる可能性がある。政策金利のFFレートが3.5~4%程度までの利下げで済むのか、3%、場合によれば2%台まで利下げが必要なのか。2%台のケースは、90年代初頭や2000年代初頭時に並ぶ、いわば実質ゼロ金利政策である。

主要国の株式市場は、米国の信用不安・実体悪と金融緩和のせめぎ合いの中で、最終的には後者を評価する形で上昇に転じるだろう。08年の世界経済は米国低迷だが、中国など新興国主導で高めの成長を維持する一方で、米国はサブプライム救済などから金融緩和を継続する公算が大きい。08年前半は主要国株価が調整を脱し、低迷する日本株も上昇相場に転じると予想する。

物色面では、サブプライム問題の落ち着きどころが見えてくるまで方向性が定まりにくい。ただし、08年1~3月期は、強い競争力と事業展開力から売上高や収益を伸ばし、株主還元を増やす「価値ある割安銘柄」を選別する好機となろう。中長期的には国際優良株中心に外需関連株優位とみる。

(※1)金融危機や信用逼迫のこと。金融機関が貸し出しを渋ることによって、企業の資金調達が困難となる状態のことをいう。

(※2)企業がバランスシート調整を優先的に行うため、積極的な投資行動ができずに、景気が低迷すること。

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