資本剰余金からの配当で誤って源泉徴収!?
2007年06月21日
昨年度の税制改正以前は、法人が株主に配当を行った場合、配当の原資が、資本剰余金からの配当か、利益剰余金からの配当かに区分することなく、すべて受取配当金として取扱われていた。
しかし、会社法が、株式会社について利益の配当や資本の払戻し等を、剰余金の配当として一本化したことに伴い、昨年度の税制改正では、利益剰余金からの配当は受取配当金とされる一方、資本剰余金からの配当については、一部の金額のみ、”みなし配当”とし、その他の金額については”資本の払戻し”として取扱われることになった。配当の原資によって税務上の取扱いを明確に区分することになったのである。
この改正により、所得税の源泉徴収の範囲も異なることになった。
改正前は、資本剰余金からの配当か利益剰余金からの配当かを問わず、源泉徴収の対象とされた。しかし、改正後は、資本剰余金からの配当について、受取配当と算出された金額のみが源泉徴収の対象となった。ところが、中央三井信託銀行株式会社や三菱UFJ信託銀行株式会社が、改正後の取扱いを失念し、配当金の支払い事務を受託している企業の株主に対し、本来は徴収する必要のない源泉徴収を誤って行い、配当を支払ったため、株主に支払われるべき配当金が減額されるというケースがあった(※1)。
このように、資本取引については税法の規定が複雑で解釈が難しく、実務に混乱が生じるケースが多々ある。例えば、資本剰余金からの払戻しがあった場合の個人株主における譲渡所得や取得価額の計算については、平成19年1月31日付(公表は2月14日)の国税庁の解説で漸く明らかになった。本来なら、会社法が施行された昨年5月までには明らかにすべき事項であったと思われるが、実際に当局が周知を始めたのは今年1月になってからである。もう少し、納税者の利便を考えた対応はできないであろうか。
一方で、各証券取引所は、株主への通知を目的として資本剰余金からの配当を行う場合の開示資料での記載や決算短信等における資本剰余金からの配当金の内訳の記載を要請している。上場会社各社には、制度を正しく理解し、株主のため今後とも適時適切な開示に努めるよう願うばかりである。
| (※1) | |
| 剰余金の配当に関する源泉徴収手続き相違について(三菱UFJ信託銀行株式会社) | |
| 剰余金の配当に関する源泉徴収手続き相違について(中央三井信託銀行株式会社) | |
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金融調査部
金融調査部長 鳥毛 拓馬
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