予想よりも早く反転上昇し始めた液晶価格

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2007年04月23日

  • 杉下 亮太

4月に入って液晶パネル価格の上昇が始まった。予想よりも1-2ヶ月早いタイミングでの値上げである。最初に値上げが通ったのはモニターパネルで、4月後半にはノートPCパネル価格も引き上げられた。主要液晶メーカーの工場はまだフル稼働に達していない模様だが、パネル価格の底値が近いと見た一部の大手PCメーカーが発注を増やし、パネル需給が大きく好転したものと推測される。さらにテレビパネル価格も32インチについては値上げされるとの声も出てきた。

モニター・ノートPCパネルについては、これから秋にかけて価格上昇が続く可能性が高いと考えている(22インチワイドなどの一部を除く)。PC用液晶パネルは需給バランス次第で値上げが通るというのが過去の経験則である。17インチモニターパネルを例に取ると、05年の上昇局面には13%、06年には26%の値上げが実施された(いずれも底値から高値までの変化率)。PC用液晶パネルは第5世代(5G)工場で製造されることが多いが、07年に5G工場の生産能力が大きく増えるのはチーメイ1社のみである。このため、今後PC生産が季節要因で増えるにしたがい、PC用パネルの需給は逼迫気味に推移することが予想される。

一方、テレビパネルについてはこれまで値下げされる一方であり、値上げされることはほぼなかったが、一部の液晶メーカーが32インチパネルの値上げを打診し始めた模様である。32インチテレビパネルは各社とも06年後半以来、採算割れが続いていると推測され、少しでも値上げをしたいとの思惑はあるだろう。ただし、家電メーカーは部材価格の値上げに対する抵抗が強いと以前からいわれている。また、サムスンやシャープのように液晶パネルだけでなくテレビセットも生産するメーカーがある。したがって、テレビパネルの値上げが今後通ったとしても、小幅かつ限定的にとどまるものと予想される。とはいえ、値上げによって32インチテレビパネルの黒字化は、当初想定の07年10-12月期から7-9月期に早まる可能性も出てきたと考えている。

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