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景気拡大が続く理由

2006年12月01日

原田 泰

日本経済は景気拡大を続け、2006年11には過去最長のいざなぎ景気の57か月を超し、戦後最長となった(にもかかわらず、景気が良くなっているという実感を持てない理由は10月2日の本欄で書いた)。

この景気は極めて長期に続くと考えられる。その理由は、景気が後退しないからではなくて、人々が景気後退になっても後退とは認識しないからだ。

毎月勤労統計調査の雇用指数と労働時間指数を掛け合わせたものを労働投入指数として、これを見ると、91年から2003年までは年率マイナス0.8%で減少してきたが、2003年から2006年(最新時点までの平均)では年率0.7%で上昇している。労働投入の伸び率が1.5%[0.7%-(-0.8%]も高くなっている。これに応じて、実質GDPの長期的な平均成長率は90年代の年率1%から2.4%になった。

トレンド成長率が2%を超えたのだから、現実の成長率が1%を下回れば不況と言っても良いと思うが、人々はいまだトレンド成長率は1%だと思っている。トレンド成長率が1%であれば、マイナス成長にならないかぎり景気後退とは認識されないだろう。かくて現実に不況であっても、プラスであれば踊り場と認識され、景気拡大は長期に続くことになる。

実質成長率がマイナスになるようなショックが起きることがあるだろうか。ここ数年5%以上で成長してきた世界貿易がゼロ%になっても、日本の輸出依存度は10%に過ぎないので、日本経済へのショックは10%×マイナス5%でマイナス0.5%でしかない。在庫調整などで成長率が1%に減速したときにこのショックが襲っても、成長率0.5%は確保できる。ここでさらに強い金融引締めを行えば、成長率がマイナスになるかもしれない。しかし、このようなことはあまり考えられない。成長率がマイナスになった時が景気後退だという認識が変わらない限り、日本の景気拡大はかなり長期に続くだろう。

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