人気の高まるバランスファンド

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2006年09月04日

  • 西井 和
バランスファンドの種類

近年、複数の資産にバランス投資する投資信託(以下、バランスファンド)に人気が集まっている。大和総研が集計したところ、2006年7月末時点で約350本、純資産残高では約5兆円のバランスファンドが運用されている。
バランスファンドの投資対象資産は多岐にわたる。従来は株式と債券のバランス投資が主流であったが、03年以降には投資対象にリート(不動産投信)が加わった。直近では、6種類(国内外の「株式」「債券」「リート」)に投資するバランスファンドの新規設定・資金流入が目立つほか、エマージング国の株式・債券をも投資対象に含めるファンドが設定されており、幅広い投資対象・分散投資が最近のトレンドといえる。また「地域関連株式」や「女性にブランド価値が認められている企業の株式」を投資対象とするなど、ユニークな投資テーマを持つバランスファンドもある。

バランスファンドのメリット、留意点

バランスファンドのメリットの一つは、複数資産への投資により、単一資産への投資に比べリスクの軽減や安定したリターンを期待できる点である(いわゆる投資の分散効果)。06年7月末における過去3年パフォーマンスを下図に示した。バランスファンドのリターンやリスク(月次リターンの標準偏差)は株式と債券の中間に分布している一方、リスク対比のリターンを見ると、直近3年では株式よりも低いリスクで、株式と同等もしくはそれ以上のリスク対比リターンを生み出したといえよう。
バランスファンドに投資する際の留意点の一つは投資対象資産の種類・構成比率である。株式や外国資産を多く組み入れるほど、ハイリスク・ハイリターンの特性を持つ。もちろん、株式組み入れ比率が高ければ、株式市場下落時のマイナスの影響をより強く受ける。この他、信託報酬率の水準にも留意したい。特に、ファンドがファンド・オブ・ファンズ(※1)形式を取る場合、目論見書に記載されている信託報酬率が投資先ファンドの信託報酬を含んでいないケースもあるので注意する必要がある。また近年、毎月分配のバランスファンドの設定・資金流入が目立つが、毎月の分配金へのニーズがないなら、あえて毎月分配型ファンドを選択する必要はない。毎月の分配金を再投資に回した場合、税金分だけ再投資効果が薄くなり、最終的な受取額が小さくなることにも留意したい。

(※1)他の投信に投資する投信。投資先投信を通じて、実質的には株式や債券などに投資する。

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