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惑星の既得権は認められず

2006年09月01日

原田 泰

惑星の数は8個になった。8月24日、国際天文学連合総会で、惑星の定義が新たに決まり、冥王星は惑星ではないことになった。確かに、冥王星は月よりも小さく、その直径は、2番目に小さい惑星である水星の半分以下の2300キロメートルしかない。こんな小さな星を惑星とすれば、いずれ惑星はいくらでも増えてしまう。だから、冥王星は矮惑星という別の分類に入れるほうがいいということになったという。

冥王星は小さすぎ、軌道面も他の惑星とは異なって傾いているから惑星ではないという声は昔からあった。冥王星は1930年にアメリカ人によって発見された。30年はアメリカ大恐慌の年であり、世界的な科学上の発見にアメリカが参加した年でもある。30年代以前も、アメリカは豊かで強大ではあったが、知の世界で他を圧するような国ではなかった。天王星はイギリス人によって、海王星はフランス、イギリス、ドイツの3人の協力によって発見された。したがって、アメリカ人が発見した冥王星を、アメリカは惑星として残して置きたかったのではないかとも言われている。しかし、アメリカの願いも空しく、冥王星は惑星から追放されてしまった。

反米の日本人もいるだろうが、反米心を除くと、76年間も地球と同じ惑星だったのに、その地位から追放するのは忍びないというのが、普通の日本人の心情ではないか。既得権は認めざるを得ないし、また、それを認めることが、人情というもので、伝統と文化の尊重にもなるとすら思うのが、日本人というものではないだろうか。

しかし、国際天文学連合会は、既得権主義を明白に否定した。これがグローバルスタンダードと云うものなのだろう。談合や馴れ合いを、今まで当然のようにやってきたからと言って、これからも良いとは言えないということだ。

冥王星は惑星の地位から追い立てられても、太陽を回っていることに違いなく、小さな惑星という仲間もできた。しかし、誤った既得権は、捨て去られるしかないということだろう。

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