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世界同時株安は終わってない

2006年08月31日

成瀬 順也

NYダウ、DAXは5月16日以来、日経平均は5月17日以来の高水準を回復。日米欧の株式市場で、ここ3ヶ月の調整局面を脱し、ボックス推移から抜け出そうとする動きが見られる。高値から20~30%の急落を演じたBRICs各市場も、ロシア(RTS)の81%を筆頭に、中国(ハンセンH株)が79%、インド(SENSEX)が73%、ブラジル(BOVESPA)が69%と、下げ幅の多くの部分を回復している。

しかし、これで世界同時株安が終了したと判断するのは早計だろう。米国発の株価調整は二段ロケットと考えられる。最初の調整は金融政策を巡る混乱。金融引き締めを終了するかどうか大事な判断を迫られる時期にFRB(連邦準備制度理事会)議長が交代するという不運から、FRBに対する不信感が高まった。新生FRBの「市場との対話」能力が向上したことから、第一の危機は過ぎ去ったと考えられる。ただし、これは見せ掛けの調整である。本家本元の米国株は下落したというより、乱高下を余儀なくされただけである。

より本質的な第二の調整は、利上げ効果による米国経済の減速によってもたらされよう。当初、漠然とした不安でしかなかった米景気減速が現実のものとなると、株式市場は一層の減速、つまりはゼロ成長への失速や景気後退を懸念するようになる。それが現実のものとなってしまえば、米国株は底割れ、日欧は米国以上、BRICsはさらに大きい株価下落を余儀なくされよう。ただし、実際には、米国経済はソフトランディングに成功すると見ている。第二の株価調整も、あくまで市場の過剰悲観によるもので、一時的なものとなろう。調整のタイミングであるが、米国発であるから、当然、米国のスケジュールが大事になる。次回9月20日のFOMCまでは下値不安が小さい。景気減速指標が発表されても、利上げ打ち止め期待が高まるためである。

怖いのは、その先。2回連続で利上げが見送られると休止ではなく打ち止めとの期待が株価に織込まれ、以後、景気減速指標は株価の足を引っ張る存在へと180度転換する可能性が高い。ちょうど米国では、中間選挙(11月7日)前の不透明感、ミューチャルファンド(投資信託)を巡る需給悪化(10月~11月上旬)、決算発表シーズン(10月中旬~11月上旬)などのネガティブ・イベントが重なるため、9月20日から11月7日にかけてが最も調整リスクが大きい1ヶ月半と見ている。要注意。

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