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物価連動国債ファンドについて

2006年08月02日

髙橋 知宏

日銀は7月14日、ゼロ金利政策解除を決定した。政策金利の引き上げは2000年8月のゼロ金利解除以来、約6年ぶりのことである。今後の金利上昇が強く意識される中で、わが国の物価連動国債を投資対象とするファンド(公募投資信託)(※1)の純資産が徐々にではあるが、増加している。

日本の物価連動国債は04年3月に初めて発行され、06年6月末時点での発行実績は8銘柄にとどまる。発行時にはすべて10年債として発行されるため、各銘柄の属性に大きな違いはない。現状の残存期間は8年~10年に集中し、発行総額も約3.5兆円と小規模である。

物価連動国債の元利金は、消費者物価指数(総務省発表の全国消費者物価指数のうち、生鮮食品を除く総合指数)に連動する。すなわち、物価連動国債の発行後に物価が上昇すれば、その上昇率に応じて元金額が増加し(以下、増減後の元金額を「想定元金額」という)、償還額は償還時点での想定元金額となる。利払いは年2回で、利子は各利払い時の想定元金額に表面利率(発行時に固定)を乗じて算出するため、物価上昇により想定元金額が増加すれば利子も増加する。

物価連動国債ファンドの魅力と留意点

個人投資家は、物価連動国債を一般の固定利付国債や個人向け国債のように直接購入することはできない。したがって、物価連動国債ファンドに投資することは、1)個人投資家が直接投資できない投資対象に少額から投資可能となる、2)長期的にはインフレによる実質資産価値の減少を回避(インフレヘッジ)することが可能となる、点が魅力になろう。

ただし、物価連動国債ファンドへの投資には以下の点に留意したい。物価連動国債も債券であるため、短期的には価格変動が存在することである。今後の物価上昇が予想される場合、長期金利が上昇し、固定利付債券の価格は下落する。物価連動国債の場合には、将来の元本増加が反映されるため現在の価格には影響しないはずである。しかし、1)消費者物価指数に反映されないインフレリスク、2)将来のインフレ懸念に対する過度な金利上昇、3)市場環境や需給動向の悪化に伴う金利上昇、などがあった場合には、物価連動国債の価格も下落する可能性が高い。短期的には実質金利(固定利付債利回り-将来の物価上昇率予測)の変動によって価格は変動する。

インフレヘッジへの対応は、従来、不動産や金などの実物資産への投資に限定されていたため、その選択肢が増えたことは歓迎すべきことである。長期的な視点では、物価連動国債ファンドはインフレリスクを回避できる運用商品といえよう。

(※1)06年6月末時点で3社から5本設定されている。純資産合計は05年6月末時点で約83億円だったが、06年6月末時点では約123億円。

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