高い経済成長続くバルト3国
2006年06月13日
04年に新たにEUに加盟した諸国の中で、高い経済成長を続けているのが、リトアニア、エストニア、ラトビアのバルト3国である。これら3カ国は91年に旧ソ連から独立したが、人口が少なく(各国とも100~350万人程度)、経済規模も小さいこともあって、計画経済から市場経済への移行に必要な各種の構造改革が急速かつ比較的スムーズに行なわれた。このため、他の中・東欧諸国のように現在も巨額の財政赤字を抱えるということはなく、財政収支は黒字または小幅な赤字にとどまっている。
ただ、バルト海に面したこれら3カ国とユーロ圏諸国との経済格差はまだ大きい。一人当たりGDP(購買力基準)を比較すると、ユーロ圏内で最も低いポルトガルを3割以上下回る(ユーロ圏平均の半分弱)。こうした格差から生じるビジネスチャンスをとらえ、他のEU加盟国などからそれら諸国への投資が増加している。例えば、エストニアへの対内直接投資はGDPの20%強に達する。国内の投資ブームとも相俟って、不動産価格は一昨年、昨年と大幅に上昇した。雇用の拡大による所得増加を主因に、個人消費も拡大している。また、ロシアや北欧諸国、ドイツとの密接な経済関係もあって、それら諸国への輸出が増加している。
この結果、これら3カ国は高い実質経済成長を続けている。01~05年の実質GDP成長率は年率8%弱を記録した。一方、高い経済成長が続いているため、物価上昇率がやや加速している。とくにラトビアでは消費者物価上昇率が前年比6%台まで高まっている。
早晩バルト3国はユーロを導入することになろう。ユーロ導入が遅れる可能性が強い他の中・東欧諸国にとって、経済水準が近いバルト3国の導入は、ユーロ導入の影響を推し量る上で絶好のサンプルとなろう。
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