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年金資産運用とオルタナティブ投資

2006年06月06日

俊野 雅司

最近は、企業年金制度の維持に伴う費用負担の重みを緩和するために、確定拠出型年金制度の導入を実施ないし検討する企業が増えている。しかしながら、この制度では、従業員に運用上の負担とリスクが発生するため、本業への悪影響を懸念する経営者が少なくない。そのため、現在でも、従来型の確定給付型年金制度を維持する企業が多数派を占めている。

最近こそ、数年間続いてきたゼロ金利政策が解除される方向へ進むなど、資産運用環境は正常化されつつあるが、一時期、資産運用難に悩む年金スポンサーの多くが、活路を見出すべく、ヘッジファンドを始めとするオルタナティブ投資を採用した。大和総研が昨年実施したアンケート調査の結果によると、ヘッジファンド、不動産、プライベート・エクイティの順番で、国内の年金スポンサーによるオルタナティブ商品の採用比率が高くなっている。

この調査の中で、これらのオルタナティブ投資の政策資産配分上の位置づけを見ると、国内債券の代替など、他の伝統的な投資対象への配分の一部をオルタナティブ投資へ割り当てているケースが少なくないことが明らかとなった。また、オルタナティブ投資には、それぞれ固有のリスクがあると思われるが、これらの商品を導入するに当って、特に具体的なリスク管理上のガイドラインは設定していないケースが少なくないものと思われる。

大和総研では、昨年の秋から、学識経験者、運用機関、年金スポンサー、他のシンクタンク等の協力を得て、リスク管理フォーラム(オルタナティブ投資セッション)を立ち上げており、近々リスク管理ガイドライン(オルタナティブ投資編)を公表する見通しになっている。また、ガイドラインの本文については、このコラムの掲載されている大和総研のホームページに公開する予定である。今回は、国内の年金スポンサーにとって採用頻度の高いヘッジファンドと不動産を中心に、リスク管理のあり方を取りまとめている。

2001年に成立した確定給付企業年金法のもとでは、年金スポンサーは、年金資産の管理上、重い受託者責任を負っていることが確認されている。そのため、オルタナティブ投資の採用の際にも、高いリターンの獲得可能性という観点ばかりではなく、不測の事態に備えたリスク管理の必要性についても十分に認識を強めていくことが必要であろう。上記のリスク管理ガイドラインがそのような傾向を促進していくうえでの一助となれば幸いである。

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