会社法と内部統制システム
2006年05月12日
今回の会社法の特徴は、これまで分散していた会社に関する規定、商法第2編、有限会社法、商法特例法などを一本化し、個々の企業が経営環境の変化に対して柔軟に対応できるように、会社制度が改革されたことである。その内容として、最低資本金制度の撤廃や新しい会社形態、資金調達や企業再編に関する規制緩和などが取り上げられているが、株主の利益を守る観点から、コーポレート・ガバナンスの強化も盛り込まれた。
具体的には、これまで委員会等設置会社にのみ課されていた内部統制システムの構築が全ての大企業(資本金5億円以上または負債200億円以上)に対して義務付けられるようになった。会社法施行規則で、「業務の適正を確保するための体制」つまり、内部統制システムの整備を求めている。そして、法施行日以降最初に開催される取締役会でこれらの体制について決定し、その決議内容は新法施行後、2回目の定時株主総会における事業報告で開示することとなっている。
内部統制システムの整備とは、具体的に下表にあるような体制の整備である。
これらは、これまでも有価証券報告書や決算短信などで既に開示してきた内容であろう。
敢えて、ここで何をすべきか。社内にある既存の規程や基準を、業務の有効性・効率性の観点から、それらを時代に照らして実際の運用面との乖離はないか、使われることの無い条項がないかなど見直していくことである。
そして、今一つ留意すべき点は、2009年3月期から適用と言われている財務報告に係る内部統制報告書の作成との整合性を考慮しておくことである。
表.会社法における「業務の適正を確保するための体制」整備に関する条項(委員会等設置会社を除く)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
議決権行使助言業者規制を明確化:英FRC
スチュワードシップ・コード改訂で助言業者向け条項を新設
2025年06月10日
-
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進に求められるものとは
グロース市場改革の一環として、東証内のIPO連携会議で経営者向け情報発信を検討
2025年06月10日
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
「内巻」(破滅的競争)に巻き込まれる中国自動車業界
2025年06月11日