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なぜ日本の車は日本の道を走らないのか

2006年03月01日

原田 泰

テレビのコマーシャルで見る日本の高級車は、日本の道を走らない。軽自動車でも、日本の道を走らないことが多い。ヨーロッパの狭い石畳の道をあざやかに潜り抜けて、小回りが利くことと小粋なイメージをアピールしている。

日本の高級車は素晴らしいし、小さな車もお洒落だと思う。日本の車が日本の道を走らないのは、ごちゃごちゃした日本の道を走ったのでは、高級感や小粋なイメージがだいなしになると思っているからだろう。

日本にも、江戸情緒の残った昔ながらの街並みや高級住宅街だってないわけではない。だから、日本の道を走る自動車のコマーシャルが絶対にできないわけではないだろう。ヘリコプターで俯瞰して撮る許可を得るのが難しい等という理由があるのかもしれないが、海外でロケする手間と時間に比べればたいしたことはないのではないか。

京都の町家や漆喰の土蔵が並ぶ道を潜り抜ける軽自動車だって悪くない。コマーシャルで紹介されれば、町おこしになるかもしれない。しかし、何分にも、揃った町並みがすぐに終わってしまうので、撮影が難しいのは確かだろう。

日本は、美しい自動車は作れた。しかし、それが走る美しい道は、巨額の道路予算を費やしたにもかかわらず作れない。

日本には日本独自の街の美があるという説もある。中世のままに固化された美よりも、おもちゃ箱をひっくり返したような、一人ひとりの自由な創意を反映した街にこそ美があるという説である。しかし、少なくとも、日本の自動車会社はそうは思っていない。自動車会社だけがそう思っていない訳ではない。自動車を買う人、つまり、大部分の日本人がそう思っていないから、日本の自動車は日本の道を走らない。

なぜ、美しい景観を作れないのだろうか。私は、日本の車が美しい日本の街を走る姿を見てみたい。

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