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人口減少で怖いこと

2006年01月04日

原田 泰

人口減少で大変だと言う人が多い。人口減少のトレンドが早まり、2005年にはもう人口減少社会が始まるとなって大騒ぎとなった。しかし、人口が減少するとは、生産する人が減ることだが、消費する人も減るのだから、どうということはない。1人当たりで貧しくなる訳ではない。ただし、高齢化は、生産する人が減って、消費する人が増えるのだから大変と言えば大変だ。しかし、その大変さの程度はたいしたことはなく、人口減少に怖いことは何もない、空間の余裕ができて楽しいこともたくさんあると、暮れに発刊した本で書いた。人口減少社会が怖いと思う方には是非読んでいただきたい(原田泰・鈴木準『人口減少社会は怖くない』日本評論社)。

だが、人口が多いことに規模の経済があって、人口が減少すれば、その規模の経済がなくなって1人当たりでも貧しくなるという議論もある。しかし、これは、まったく現実性のない議論である。もし、この議論が正しいのなら、同じ中国人の国である中国の方が、香港、シンガポール、台湾より豊かであってしかるべきだが、現実には、人口が少ない国・地域の方がずっと豊かである。北朝鮮は韓国より人口が少ないが、それが北の貧しい理由だと考える人はいないだろう。

ただし、人口減少で私が怖いと思っていることがある。人口が半分になったとき、サッカーと野球の両方の「ワールドカップ」で、日本は活躍できるだろうか。人口が多ければ、それだけ運動能力に優れた若者を輩出できる。人口が半分になったとき、メジャーな2つのチームスポーツで、日本は世界に伍していけるだろうか。人口が半分になって、ワールドカップに出場できなくなるのは怖い。

救いは、オランダのような小国でもサッカー強国があることだ。ブラジルやフランスに学ぶより、オランダにこそ学ぶべき時期がすぐにくる。人口が減少するという事実を率直に認めて戦略転換する能力が、日本にはないのではないかと思うのは怖い。

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